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「おー、金田ちゃんの到着だー」

 三日目の昼前、練習する皆の前に金田達が現れた。

「遅れてすみませんでした」

「いや、それはいいんだが。今度から勉強頑張ってね」

 荒山はにこにこしていたが、笑っているように見えない笑顔だった。

「は、はい」

「金田ちゃんがびびってる」

 西木は楽しそうだったが、二年生たちは神妙な表情をしていた。荒山の本気を見たことがあるためだった。

「よーし、全員揃ったな。今日の午後は地元の紀玄館田辺との練習試合だ。金田は50点取れ」

「はい。えっ」

 鹿沢は冗談を言っていたが、実際にはかなり緊張していた。東博多に力及ばないのは予想できていた。しかし紀玄館田辺とは力の差がないと考えられ、しかも総合先端未来創世はベストメンバーがそろった。「勝たなければならない」試合なのである。

 


練習試合 対紀玄館田辺高校戦オーダー


酒井(PR 3)

佐山(HO 3)

鷲川(PR 2)

須野田(LO 2)

小川(LO 2)

甲(FL 3)

松上(FL 2)

芹川(NO8 3)

荒山(SH 3)

犬伏(SO 1)

鶴(CTB 3)

林(WTB 3)

金田(WTB 1)

瀬上(CTB 2)

能代(FB 2)



「さて、どうなるか」

 鹿沢は腕組をして試合を見つめていた。

 紀玄館田辺は県代表の経験こそないものの、激戦区で常に上位進出しているチームである。スポーツ推薦が充実しており、将来紀玄館大学に入学できるということもあり、全国から選手が集まってきていた。

 対して総合先端未来創世は、現段階でのベストメンバーともいえる布陣だった。

 試合は、序盤から点数の取り合いになった。金田と林のウイング二人が走りまくって、チャンスを作った。だが、相手のフォワードにも突破を許し、得点された。


(前半終了)

総合先端未来創世高校 21-24紀玄館田辺高校

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