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 カルアにもわかる。金田はすごい選手だ。一年生の中でずば抜けている。

 レギュラーで出ている上級生たちも、みんなうまい。近堂は相撲部出身ということでまだ雑なところがあったが、それでも突進力は並外れている。

 カルアよりもうまい選手たち。一流の選手たち。確かに彼らには、頼るべきだ。

 そしてその中に、西木や根田は入っていない。と金田は判断している。

 わかる。わかるけど。

 それを、僕に、言ったの? そのまま?

 カルアは混乱した。「みんな信じろ」と言われても頑張れる。それなのにわざわざ、金田は「正しいこと」を言ったのだ。

 元々推薦枠には、別の選手が収まるはずだったと聞いた。土壇場で断られたのだ。そんな状況でも金田は「余っていた」。とてもそんなレベルの選手には思えなかったが、やはり事情があったのだ。

 入部して約三週間。普段の金田は、寡黙だった。まだ、誰とも仲良くなっていない。カルアは何度か話しかけたが、対応はそっけなかった。

 人間的に問題があるんじゃね?

 ボールが根田に渡った。相手に正面から当たっていったが、力強いタックルに体をのけぞらされた。荒山が急いで駆け寄り、ボールを出す。受け取った金田はそのまままっすぐ切り込んで、相手をかわしていく。

 惚れ惚れするような走りだった。カルアは今まで、金田レベルの選手がいるチームと当たったことがない。そんな選手が仲間なのだ。けれども、どうにもワクワクできなかった。

 金田はパスもするし、周囲もよく見ている。けれども、孤立しているように見えたのだ。

 相手の守備陣形が整っていない。近堂にパスを出せば、そのままトライできそうだった。だが金田は、反対側の林にパスを出した。「強引ぐマイウェイ」と呼ばれるほどまっすぐに突き進む三年生の林は、自慢の脚力でゴールラインを目指した。しかしあと一歩のところで捕まってしまう。

 その後の攻防で、結局トライはできた。しかし、カルアは納得していなかった。

 金田には見えていたはずだ。そして、信頼できる上級生の中に近堂は入っていたはずだ。

 それでもおそらく、金田の中では確率的に近堂にパスを出さない方がよかったのだ。確かに近堂より林の方が上手い。それはカルアにもわかった。

 それでも。フリーでパスを受けられない金堂の気持ちを考えるとつらかった。そして、中学までの自分も、近堂にはパスを出さなかったかもしれないと思うとつらかった。

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