第3話 出会い②

僕は声に出ていたようで、急いでハッと自分の口を塞いだ。


「あ!ウサギ起きてたの?起こしてごめんね!」


悠さんは全然気持ちの篭ってない謝罪を軽くした。


「は?別に寝てないんだけど!私の事小学生かなんかだと思ってんの?」


その子は声を荒らげ、少しむくれてそう言った。かわいい...。


「で?そいつが湊って人?」


出会って30秒もせずそいつ呼びされた...。僕の印象ってどんなだろう。やっぱり顔を隠したい理由で伸ばし続けてた前髪のせいなのか...。と僕は反省した。


「こんにちは、湊です。」


とりあえず挨拶をと話しかけると


「こんばんは、ウサギです。」


彼女はこんばんはを強調してニッコリと笑顔で返した。その作り笑顔はなんだかとても怖かった...。僕は怯えながら話を続けた。


「あの年齢聞いてもいいですか?」


─────────

コミュ障その1

会話のレパートリーがとても少ない!

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「17、てか敬語やめて」


「あ、わかり...はい...。」


僕は一生懸命返事をした。取り敢えず会話を続けようと、年齢を聞いてみたけどミスったかな。でもウサギちゃんは見た目通り僕と同い年だった。あとなんか怖い人ばっかだな。


「てか真由美さんもう少しで下りてくるって」


「あーい!了解!」


兎さんは悠さんにそう言うと、階段を登って部屋に入ってしまった。それと真由美さん...?いったい何人いるんだろう。それと、あの長く垂れた兎の耳はなんだろうと考えていると、悠さんが手をパン!と叩き


「てか僕自己紹介してないよね!自己紹介するね!あ!やっぱみんな揃ってからにしよ!」


なんなんだこの人は...。さっき名前聞いたよ...。本当に話を聞いてないんだなと僕は呆れた。僕はそれに対し苦笑いで返答した。



「なんだか騒がしいね」


綺麗な低めの女性の声が聞こえ、僕は声の先に

振り向くと、そこにはコーヒーカップを持った

美人で長髪で髪の綺麗な、女性が僕達を見て微笑んでいた。


「あ、君が湊くんか。ここ騒がしいでしょ。これからよろしくね。私は真由美。好きに呼んでいいよ」


や、優しい。それにとても綺麗だ。最初の人達のインパクトが強すぎてここには怖い人と変人しか居ないのかと覚悟してた所だったけど良かった。普通の人がいて良かったと僕は安心した。一息ついた。


「湊っていいます。よろしくお願いします。」


僕は軽く挨拶を返すと真由美さんはニコッと笑顔で返してくれた。


「てか悠、もうみんなに湊くんの挨拶済ませたの?」


「んーん、まだあっちゃんとウサギだけだよ」


「じゃあみんなを今から広間に集めるからそこでゆっくり話そうか」


「そっちの方が早いね!よろしく!」


悠さんと真由美さんが仲良さげに話していると、真由美さんが


「みんな集めるからちょっと待っててね」


そう優しく俺に微笑んだ。聖母だ...。その時僕は、あと数分で半信半疑だった自分の持つ異能について深く語られるとは思ってもいなかった。

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異能戦線 咲星 @sh15

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