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『宇宙人ー、ASMRって知ってるー?』

爪をいじりながら香菜が訊いてきた。


「ASMR?なんですかそれ?」

『うーん...色々な物で音を出して気持ちよくなるんだよ』

あー、語彙力ないなーこの人。

「もっと上手に説明してください。どこが気持ちよくなるのですか?」

『どこって...頭が.....私がやってあげる!』逃げた。

「もっと本を読んでください」

『んー、うん......』

そう答えながら、香菜はカバンの中からゴソゴソ何かを取り出してきた。


『じゃじゃーん!!』

半透明な入れ物を机の上に置いた。

「うわっ、なんですか?」

私がそう言うと、香菜はその入れ物を開けた。

『これねー、スライムっていって、触ったり握ったりすると気持ちいいんだよー!』

「生きていますか?私と同じ宇宙人なのですか?」

『違うよー、生きてる訳ないじゃん これはただの物だよ!』

「変な物ですね」

香菜はスライムを揉んでいる。グチュグチュおとが鳴った。

『どう?気持ちいいでしょー!』

「あー、確かにわかります!私にもやらせてください!」

『いいよー!』


私は香菜と場所を交代すると、スライムにちょんっと触った。

「動かないですね。大丈夫です」

そう独り言のように呟くと今度は両手でがっしり握った。少しひんやりしている。

そしてがっしり握ったスライムを上下に動かした。またグチュグチュ鳴っている。

「いいですねー最高ですー」

『うんうん、上手だよー宇宙人』

「香菜より上手じゃないですか?」

『うるさい笑』


それから夜ご飯を食べる時間まで香菜とスライムで遊んでいた。

『そろそろ食べようか?』

「はい。食べ終わったらまた遊びたいです」

『そんじゃ今度は職人技見せてあげる!』

「えー職人技できるのですか??凄いです!!」


夕飯はとんかつでした。


おしまい


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私は宇宙人である Lmay @may_7

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