車の夢

一華凛≒フェヌグリーク

第1話

 持病があって、車の運転ができない。


 無意識の部分に染み込むくらい考えたからなのだろうか。

 私が夢で車を運転する時、珍妙なことになる。幼少の頃はハンドルとアクセルとブレーキのみの、ゴーカートのような運転で、バスも自動車もバギーにも乗った。

 ただし、視界は後部座席だった。

 この時はまだ、普通であった。

 大学生になった頃、車に自転車が入りだした。

 夢の私は戸惑ったり、何の疑問も持たなかったりしつつ、サドルに座る。ハンドルは円形である。ブレーキとアクセルはない。あるのはペダルだ。シーツお化けのように車の皮を被せた車を、私は運転していた。ペダルは重かったが、カーブは快適だった。

 丁度、歩きや電車を使うことが増えていた。覚えている限りの夢にも、これらが増えていた。反対に車の夢は減った。


 さて、先だってのことである。

 夢の私は、自転車で高速道路を走っていた。料金所を何事もなく通過して、車と同じ速度を立ちこぎで出していた。風に吹かれてバタバタする髪を心地よく思いもした。

 目が覚めた時思ったことは、「とうとうガワも消えたな」だった。

 こうなってくると、夢占いの「車」と「自転車」の項目をどうしたものかと、今日も悩むのである。

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車の夢 一華凛≒フェヌグリーク @suzumegi

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