猫又の恩返し

アオヤ

第1話

「おにいさん、今日は何が釣れたの? 」


浜辺の岸壁で毎日釣りをしているお兄ちゃん。

もうすっかり私とは顔なじみだ。

私はバケツの中を覗き込んで今日の釣果を確認した。

「おお、今日はいっぱい釣れてるじゃない! ねぇ、あのアジ美味しそうだね? 」


「なんだ? それが欲しいのか? しゃあない、持っていっていいぞ! 」


「ヤッタ〜 おにいさん大好き! スリスリしてあげる。」


「おい、くすぐったいよ。まだもうチョと釣りしたいからまた後でな! 」



###

俺はいつもの様に岸壁の上に腰をおろし、のんびり釣りに勤しんでいる。

今日の釣果は上々だ。

バケツの中にはキレイな型のアジが泳いでいる。


いつも決まった時間に雌の三毛猫が俺の側にやってきて・・・

足下でスリスリする。


「オッ? 今日も来たな。どうだ、今日は沢山釣れただろう? そのアジ持って行っていいぞ! 」


猫は俺にお辞儀するかの様な仕草を見せて、アジを咥えて持っていった。

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