第2話

俺はボォ〜と波間を眺め竿の感触を確かめている。


蒼い空に、青い海。

まるで蒼の世界に居るかの様に錯覚してしまう。


『イルカに乗って水平線のむこう側まで行ってみたい』

ボォ〜とした俺ははるか昔の事を思い出した。

俺の小さい頃の夢だったが実現するはずなど全く無い。

いつの間にかそんな夢の事など忘れ、俺は釣り竿を持ち魚と格闘する様になっていた。


俺はしおの香りを含んだ海風を顔に受け、水面下の魚の動きを想像する。

きっと沢山のアジが『そんな手にのって釣られるものか』と俺の事をバカにしているに違いない。

でも今日はこれだけの釣果だ。

俺の作戦勝ちかな?


こうしてのんびり釣りが出来る時間が俺にとっては贅沢な時間なんだと感じてしまう。

・・・まぁ〜魚が釣れたらの話しではあるが・・・


お腹も空いて来たので、持ってきたおにぎりを頬張った。

一つ、二つ、三つめになるともうお腹いっぱいになってきた。

そして打ち寄せる波の音を聴いているとなんだか眠くなって少しウトウトしてくる。


『ドン、ゴロゴロゴロ』

突然の耳を劈く様な雷鳴に俺はビクッとなった。

いつの間にか嵐が来そうな空模様に変わっている。

俺は慌てて帰り支度を始めた。


荷物を片付け駐車場に向けて一歩あるき出したとこるで雨が降り出す。

よくとかいうが大きな雨粒にあたると痛い程だ。

俺は慌てて近くにあった建物の軒先に避難した。

辺りは薄暗くなり、まるで黒いカーテンをまとった様だ。


駐車場まで1キロと無いのに、この雨のせいでそれが物凄く遠く感じられた。

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