ヤンデレな美少女に愛され過ぎて強制的に『保護』されてしまった件

二人のカレー

　……ん。……んん〜？　……あっ、そっか。泣き疲れてまた寝ちゃったのか、私。えっと……お、おはよ。……怒ってないの？　私のせいじゃない……そうかな。……うん、君がそう言うなら。ううん、君を守るのは当たり前だよ。君は私の全てなんだから。

　……え、えーっと、なんかお腹空いたね！　ご飯作ろうかな！　って言っても、実はもう保存食しかないんだけど……。違うんだよ！？　いつもはもうちょっと冷蔵庫に食材あるんだから！？　ただ、たまたま切らしてる時に外がこうなっちゃって。で、でもね？　電気は生きてるから、スーパーまで行けば使える食材もまだ手に入ると思う。たしかにアイツらは危険だけど、家にある食糧だけじゃどっちにしろジリ貧だし……よし、決めた！　ちょっと食糧回収に行ってくるよ！　

　えっ、君も行く？　だ、ダメだよそんなの！？　だって危ないし、君の身に何かあったら！　……た、たしかに危ないのは私も一緒だけど。今朝みたいに転んだら危ない？　うっ、それは、一人よりは二人の方が安全ではあるけど……。うぅぅ〜〜〜！　わかった。わかったけど、絶対無茶しないでよ？　君がいなくなったら、私も生きていけないんだから。

　はぁ〜〜〜、たっだいまぁっ！　やったー、大漁大漁！　すごいすごい、二人ならこんなに上手く行くなんて！　お互い守り合えるって、こんなに違うんだ！

　じゃあ、戦利品出しまーす！　にんじん！　じゃがいも！　玉ねぎ！　冷凍肉！　そしてそしてー……ジャジャーン！　カレールー！　その他もろもろあるけど、後は冷蔵庫！　今日はね・ん・が・ん・の！　手作りカレーでーすっ！

　いやー、まさか冷凍肉まで確保できるとはね。予想以上の戦果！　やっぱりお肉がないとね〜！　じゃあ早速カレー作り……っと言いたいところだけど。その前に、いっぺんお風呂入ろっか。ほら、あちこち返り血浴びちゃってるし。すみずみまで綺麗にしないと……ね？

　さあ、さっぱりしたところで！　張り切ってカレーを作りますよ〜！　君は座って待ってくれてても……えっ、一緒に作る？　そっか、ありがと〜。えへへ。

　じゃあまず、野菜を洗います。そして皮を剥いて、っと。

　続いて切っていくよ〜。ほい、トントントン、と。トントントン。私この、包丁で切る音好きなんだよね〜。なんかこう、シャッって感じ？　シャシャシャッて感じが気持ち良くない？　わかるかな？　……んふふ、そっか。

　よーしこれで下準備はOK！　じゃあ次は、肉を焼きまーす。油をひいて、解凍しておいた肉を並べてっと。ほーら、ジュウジュウ焼けてる。ジュー、ジュー、っとこの音聞いてるだけでお腹空いてくるよね。あー、いい匂いもしてきた！　よしよし、適当にひっくり返しながら火を通して……っと。そいでそいで、順次野菜を入れつつ炒めていって、と。う〜ん、どんどん美味しそうになっていくなぁ〜！　今から完成が楽しみだね？　

　はい、具材に火が通ったら、水を入れて煮込みます。沸騰するまではしばらくかかるよ。どうどう？　ちゃんと料理出来てるでしょ？　ふふっ、わかればよろしい！　ん〜どれどれ。ぼちぼち沸騰してきたかな〜。　ねっ、グツグツといい音がするでしょ？　そしたらアクを取りつつ、もうちょっと煮ていきまーす。

　結構煮えてきたかな〜。それではルーを入れまして。溶けてきたら適度に混ぜながら、全体に馴染ませて、っと。そして〜……隠し味！　あれとこれとそしてコレ！　大丈夫大丈夫、絶対美味しいから！　えっ、君も入れる？　そ、それいっちゃうの！？　あっ、でも結構美味しいかも？　うん、君を信じるよ！　で、じっくり混ぜてーっと。よし、完成！　ん〜〜〜、いい匂い、美味しそう！　うわ〜楽しみ〜！　早く早く！　早く食べよー！

　今日は食べさせてあげなくて大丈夫？　ふふふ、そっか。じゃあ一緒に食べようね。それではご一緒に〜……いただきます！

　……ん〜、おいっしい！　君の隠し味が絶妙にきいてるよ！　どう、君の口にも合う？　んふふ、そっか！　ん〜、スプーンが止まらないよ〜。　あ、おかわりもあるからね？　一緒にたくさん食べようね！

　はー、食べた食べた〜。お腹いっぱい！　こんなに美味しいもの食べたの、初めてだよ！　君と一緒だから作れた最高のカレー、だね。君となら、なんでも作れる気がするよ。これからもずっと、末長ーく、ね。

　ねえ……次は何を作ろうか？

【ヤンデレな美少女に愛され過ぎて強制的に『保護』されてしまった件――完】