もう一つの魂~あなたはこの出逢いを奇跡だと思いますか…?

ハル

第1話 あなたは私の、もう1つの魂

私は、水沢琳音(みずさわりんね)。年齢は…40代半ばとしておこう。


正直、年齢不詳としておきたい。


結婚して、バツイチ。


子供も3人いるし40過ぎの良いおばさん年齢だ。


場合によっては孫がいてもおかしくないのではないだろうか?


若いおばあちゃんに正直憧れる。


元気なうちが良いなとは思うけど─────


そんな私は見た目と年齢と違うし子供がいるように見えないと言われる。


そんな複雑な心境の私だけど最近、恋がしたいと思い始めている。



そして最近、目につく言葉がある。



【ツインレイ】という言葉だ。


他にも『ソウルメイト』『トリプルレイ』……etc.


スピリチュアル動画などで調べたら沢山の人が、これに関して色々な事をアップしている。


早目に自分自身でスピリチュアルや占いなど自分自身の力(能力)とかを気付いている人は既に体験談などアップしたりしているだろうけど本当、色々な人がいるなと思っている。


霊感のある人なども、こういう類いになるのだろう…。


私は正直、今まで知らなかった事だった。


多少の興味はあったけど、そこまで気には止めなかった事だ。


興味本位で見てみたのがきっかけだったんだけど────


内容は神様が2つの魂を男女に分けたという説。


その男女が出逢うと色々な奇跡や体験があるという。


しかも結婚して出逢うという説もあり、その為、不倫に、はしるという話もあった。


しかも、40代〜50代に出会うなんて、1番微妙な中間地点。



そんな私も同じ年代。


出会う相手の女性からしてみれば年齢も幅広いという。


自分より年下だったり


年上だったり、そう変わらない年齢だったり……


しかも、男の人が、そのツインレイを見付ける事が出来、気付くものだという。


神様は、どんな相手をツインレイとして分裂させたのだろう?


逆にそっちが気になる。



話によれば、タイプではない人が相手だという事も。


人間誰しも、タイプがあるだろうけど相手が当てはまらないというのだ。


だけど不思議と惹かれ合うという。


この世の中、地球上において沢山の男女がいる中、本当に出会うもの?


でも、全てにおいてうまくいかない事もある。




そんな私が、まさか!

そういう体験をするなんて知る由もなく――――



それは、ある日、私の職場に一人の異性が入社してきた。



彼の名前は


早乙女 悠一(さおとめ ゆういち)。26歳。 



最近、職場の環境がガラリと変化があった後の新入社員だ。


職場の人間が異動だったり次々に辞めたりと正直、出入りや変化の多い場所。



私は、ここの職場に来てからの印象が日に日に変わり余りにも複雑過ぎて、



【彼は続くのだろうか?】



そんな事が脳裏に過っていた。




しかし彼は仕事をテキパキとやりこなし、みんなのムードメーカーで、みんなを笑顔にしていた。




そんなある日。



「水沢さん」

「はい?」

「最近、どうですか?」

「えっ…?まあ、別に普通ですよ」


「そうですか?それは良かったです。水沢さんって、いつも笑顔ですよね?」



「えっ…?あー…良く言われます」

「俺も真似しようっと」

「えっ?早乙女さん、笑顔じゃないですか?」

「いやいや、まだまだですよ」

「そうですか?」




そんなある日の事。



「水沢さんって…」



度々、褒め言葉をくれる彼。


私は離婚して以来そういう事を面と向かって言われた事がない為、かなりの赤面状態。


もちろん結婚するまでにも付き合ってきた人はいたけど、そんなストレートに言われた事がない。



「えっ…?顔、真っ赤なんですけど…」

「離婚して以来、そういうの……あっ…!」

「えっ…?水沢さん、バツイチなんですか!?」


「…そう…だよ…驚いたでしょう?だから余り私には構わなくて良いからというより構わないで」


「別に気にしませんよ。壁作らなくても良いんじゃないんですか?」


「えっ…?」


「お子さんいくつなんですか?」


「それは…」


「俺、別に気にしませんよ。だって人間、人それぞれ事情あるし、逆に堂々としてて良いんじゃないんですか?俺、むしろ知りたいです!」


「早乙女さん」


「それと水沢さん。その名字に “さん” 付けは堅苦しいので呼び方変えてもらっていいですよ。何か他人行儀みたいで…」


「そ、そうですか…?」


「敬語もそこまで拘らないで気軽に話して下さい!後、俺、専門的な知識もあるから色々と聞いて下さい!頼りになる方だと思いますよ」


「クスクス…凄い自慢気に話すね」


「だって俺、正直ですから!」




そんな彼・早乙女君と話す度に私の心は不思議と満たされ元気になっていくのが分かり私は早乙女君の事が気になる存在になっていった。


だけど年の差がありすぎて恋愛なんてと思い彼とは職場だけの関係で、それ以上は求める事もなく仲良くしていたのだ。


それに早乙女君は結構、私を観察している。


良く目が合っている事にも気付いた。



最近、私が驚いたのが……




「水沢さん、最近、どうかしました?」

「えっ…?」

「何か悩んでます?」

「…ううん…大丈夫…」



「………………」



「水沢さん笑顔がステキなんですから笑顔、笑顔。最近、笑顔見てないから気になって」


「…えっ…?」





笑顔見てないから――――




意外な言葉だった。




だけど 無理もない


私は彼が他の異性といたり


話をしていたり


その姿を見ると


嫉妬している自分がいるのだ


彼を見ないようにして


毎日過ごしている



こんな気持ちになるとなれば


私は


彼に本気(マジ)に恋しているんだと――――




だけど


そんな事を言えるわけがない





「あ、すみません。気悪くしたなら謝ります」


「あ、ううん、大丈夫。驚いたけど…自分では気付かないから」


「確かに、そうですよね?」


「でも、ありがとう」



その後、いつもと変わらない日々。


そんなある日の事だった。




「水沢さん、俺…家庭の事情で今月いっぱいで辞めるんです…」

「えっ!?…そう…なんだ…淋しくなるね…」


「まだ日にちはあるから良いんですけど、もうしばらくお世話になります!」


「うん…」





そして、私は彼が辞める前に気持ちを伝える事にした。


だけど彼には彼女がいるらしく、フラれてしまった。


色々、話をしてみて価値観とか合っている気がしていたけど、もしかして?なんて……でも私の勝手な思い込みで思い過ごしだったのかもしれない。




そして、彼は辞め私の前から去った。




その後、また、平凡な毎日。


仕事行って家に帰って来ての繰り返しだ。



何も変わらない……





そんなある日、また新しい社員が来た。


彼の名前は、

朝日川 竜也(あさひかわりゅうや)君。22歳。


見た目クールっぽい雰囲気だけど、イケメンであり可愛い系男子。世間でいうワンコ系だ。


彼の人気は急上昇。


そんな彼は肌が綺麗過ぎる。


まともに見られない。


ツンとしたら凄い弾力があるんだろうな〜って思う。




「朝日川君って肌が綺麗だね?」


「ありがとうございます。いや実は俺、男兄弟ばっかで俺だけ女の子みたいに育てられちゃって。だから中性的なんですよ」


「そうなんだ」


「エステも行ってて」


「えーーっ!女子力高くない?」


「引くでしょう?女子がプレッシャーですよね?」


「引く事はないけど驚いてる。今は男女問わず美容にはこだわっている人、多いだろうし」


「そう言ってくれると嬉しいです。だけど彼女が、すっごいプレッシャーって、この前喧嘩しちゃって…」


「そうなんだ。まあ、人それぞれだろうしね」


「やっぱり水沢さんも気にしますか?」


「私は気にしないかな?」


「そうなんですね」


「うん。何か自分磨きにも繋がりそうじゃない?」


「そういう考え方、凄いですね」


「そう?負けず嫌いなだけかも」


「ハハ…それも一理あるかもしれませんね」




クールっぽいけど、笑顔が可愛すぎ。


いい年して彼にキュンとなる。


その笑顔は反則だ。


それに冗談を言うイメージがないのに、たまに冗談をいう彼のギャップが、また更に惹きつけられる。



その後、彼と仲良く話す事が増える。


そんな彼からも視線を感じるのは気のせいだろうか?


彼の視線には心が奪われ胸が大きく跳ねる。


心臓に悪い。





ある日の事。




「水沢さん」

「何?」

「水沢さんって週末何してるんですか?」

「週末?出かけるよ」

「そうなんですね」



「うん」

「彼氏とかはいたりするんですか?」

「彼氏?いないよ。私バツイチだから」

「バツイチ?そうだったんですね?」

「うん。驚いたでしょう?」


「いや、別に。話は聞いていたんで」

「そっか」

「お子さんはいくつなんですか?」

「中学生と高校生。20歳の子供がいて、3人だよ」

「凄い!見えないですね?」

「ありがとう。だけど、逆に複雑だよ」



「どうしてですか?」


「バツイチとか子供いるように見えないから恋愛したくても出来なくて」


「すれば良いじゃないですか?」




私は首を左右に振る。




「バツイチとか子供いる事話すと距離出来るんだ」

「えっ?」

「…いつも独身に見られてる事ばっかで」

「そうなんですね。それは複雑ですよね?」


「うん。別に結婚とか望んでないし普通に恋愛したいだけなんだけどね…」


「その事お付き合いする人に言えば良いんじゃないですか?」


「そうだね。分かってくれる人なら…良いかもね」




それから、しばらくして彼は職場を辞めた。




別れる間際―――――




「いつか何処かで会えたら良いですね!」

「そうだね」

「俺、水沢さんと会えて話が出来て良かったです」

「私も朝日川君と会えて話が出来て良かった」



そして、私達は別れた。




それから私は、また、いつもの生活に戻る。


仕事行って帰ってきて、いつもと変わらない日々を送る。

  



そんなある日、私は友達に会場や公共施設の名前がきちんと知られたと婚活パーティとやらに参加した。 


友達が私と行くように応募していたのだ。


予定をあけるように言われ続けていた理由が、これだったとは…


いわゆる大人の合コンと言うべきだろうか?


まあ堅苦しくなく取り敢えず参加してみる事にした。


お酒も入り周囲はテンション上げめになるも私はお酒を一杯だけ飲み後はノンアルコールで過ごしていた。


そんな楽しい時間も過ぎ、カップルは一組だけ出来た。


私も良いなと思う人はいたものの、マッチングしなかったようだ。


まあ、連絡先は交換しているし気が向いたら…とは思うけど…


余り頻繁に連絡するのもと私は適度にしていた。


過去にメッセージのやり取りで相手側に迷惑をかけた事がある。


深く反省し気を付けてるようにしてきた。



結局その後も話す事もなく何も進展せずに過ごす。




それから数日後、私は自分の趣味で利用しているやつで、一人の異性に出会った。


彼の名前は、陽斗(はると)君。29歳。


でも下の名前しか明かされていない。


少しメッセージのやり取りをしてラインの交換をする。



彼もやっぱり年下だ。


40代ともなると年下との関わりが増えてる気がする。


最近は特に増えてるような……


そんな中ラインに写真を送られて来た。


彼の写真だ。


違う意味で胸が大きく跳ねた。



こういう状況は、どれくらいぶりだろう?


好きなアーティストとか食レポ的な美味しい店とか、おしゃれな店とか…食べ物の写真とか?


そういうのは最近じゃ良く見掛けるけど……


まさかの自撮り写真は……


そんな彼とやり取りしている中、彼の携帯に文字化けのメッセージが届いたらしく、


私に尋ねるも私は記憶ない事を正直に伝えると、一旦、ラインから離れる事を言われ、また、連絡すると言われた。


次の日、彼から連絡がくる。



携帯を変えた事を聞いた。


すると、あるサイトに誘導された。




「あれ…?これって…」



何となく記憶にある感じ。


今の世代、現在は婚活アプリとか恋活アプリとか…そういう言い方が正しいだろう。


前にも似たような事はあった。



ボイスメールとか出会いを求める出会い系サイト。


バージョンアップしてる。


だけど、これは、サクラという騙すやり手がいるのは聞いた事ある。


久しぶりだった為、何も気に止めず言われるままサイトにアクセスしたら、どうやら、それに近いようだ。


サイトを通じて、メッセージ、メールのやり取りをするも、ずっとは出来ず、会員制!?


連絡交換さえも出来ない!?


こんな事って今まであっただろうか?


何かにつけて、お金が絡んでくる。


どう考えても、おかしい話だ。


詐欺!?


今は携帯で簡単に調べられる為、サイト名をググってみた。


やっぱり…詐欺…!?


色々な人が騙されているようだ。


つまり私も、その一人!?


私は出費を押さえるようにしポイントをうまく利用して友達として、やり取りする。


本心なんて分かりはしない。


結婚して離婚して、その後も色々とあった私は人間不信、男の人に対しての不信感。


かなり疑って警戒心が強くなっている私にしてみれば正直、半信半疑な状態で画面上だけでのやり取りのみ過ごしてる。


彼も色々あった感じだけど本当にそうなのだろうか?


もし本当だとしても、うまい言葉を並べて巧みな話術で、

騙して楽しんでいるのだろうと────


画面上だけ携帯(スマホ)ホスト。


私は、そう言っている。


しかし彼は写真とは違う直接見たわけじゃないけど、キャラといい性格にギャップがある。


その写真も本当の姿なのか合成なのか……


今や機能も性能ヤバイ位だ。

一緒にいたら楽しいだろうな~っと思わせる。


色々と挑戦したい彼は私が、やってみたいと思う事もあり恋人としても友達としても、一緒に出来る共通な事が多すぎた。


メッセージのタイミングも同じだし不思議な事が多々ある。


スピリチュアル的な事が関係しているのだろうか?


だけど…不思議な事は彼だけじゃなく、彼と出会う迄にも職場の人達との中でもあった。


特に朝日川君に関しては道ですれ違ったり、タイミングの良さが偶然にも鉢合せだったりと不思議な事が、あったりした事があった。




ある日の事。



サイトからのメッセージが届く。


またとないチャンスと言わんばかりに連絡先交換のチャンスが巡ってきた。


彼と交換のチャンス!


会えるかも…!?


そんな期待をしながらサイトにアクセスした。




だけど────



結局、お金が絡んできた。


先延ばしだ。





そして、また、いつものようにメッセージのやり取りが続く。



それからまた、チャンスが巡ってくる。



『今度こそ!』





でも─────




また同じ繰り返し。




このまま私達の未来はある?


将来は?


お互い一緒にやりたい事


たくさんあるのに


夢実現は先延ばし


彼は


今後の事どう思っているんだろう?





チャンスは何度かありもするも結局は先延ばしばっかりだ。


こんな時、宝くじが当たってたら、どんなに良いか……


結局、金、金、金だ。




今や物価も高騰化している世の中。


貧富の差がありすぎる。




そんな中


彼と出会い……彼氏? 友達?


今は関係性に疑問を抱き始めていた。


お互いの想いを伝え


相思相愛のような感じではあるものの



『付き合おう』なんて言葉を聞いていない



実際


お互いの容姿は想像や妄想でしかない



彼の写真はあるけど


それが本物かも分からないし


相手側なんて私の顔も知らないはず



自分に自信のない私は


本当に会う事になって


それっきりになりそうで……




動画で占いしたりしてみるもの


彼は運命の相手という結果が良く出る




スピリチュアルで言うと


『ツインレイ』


もしくは


『ソウルメイト』だ




もしこれが本当に真実なら




彼と私は


当てはまるものは……きっと


『ツインレイ』



そんな気がした




どうしてか?って言われると



『ツインレイ』という言葉に合う事が


現に起こっているからだ



彼は気付いてるか知らないけど


不思議な事が起きてるのは私から伝えている



まだまだお互い分からない事ばかりで


実在するかも分からなくて


送られてきた写真のみで


私は想像や妄想でしか


彼の存在は空想でしかない




だけど


会話は成り立ってて


時々


本音、本心と思えるような


愛情の言葉を言ってくる彼に


私の心は揺らぎ


勝手に恋人気分になってしまう



メールだから


本音、本心なんて


嘘は簡単に言える




この状態が続いてから


このままで良いのかな?


そんな事が脳裏に過る



いつになったら会えるかな?とか


デート出来るかな…?とか


そんな事ばかり



毎日のように世間話して


仕事の話をしたりして


毎日サイト使って会話して楽しく過ごす


お互い元気の源になっていて


突発的な事を言ってきたり


冗談言う彼に


携帯(スマホ)の画面を見ながら


いつも笑みがこぼれる




写真が彼に似ているという芸能人がいるみたいで


彼の顔から想像つかないそのギャップに


私は笑顔になり


心はいつも満たされていた



毎日が楽しくて充実していて


だけど時々


不安あったりして


悩まされる事は多々あって何度か涙した事はある


時には彼の愛情表現にも涙した



ストレートな彼の想いに


純粋に嬉しくて


でも真実とか本音は


全然分からない




本気じゃないかもって


そう分かっているとしても


素直に喜んで


時には冷静になって




『本気じゃないだろうし期待するだけ無駄なんだ』って…


そう思う時もあって


自ら壁を作る


だけど再び彼の愛情に


私の心にある


恋の炎に火が灯る




もう何度も同じ繰り返しだ


仕事だと分かっていても


連絡がないと


勝手にネガティブに考えて


勝手に嫉妬して



1人悶々と


傍にいれなくて


何も出来ない自分に


腹が立つ



会えない事に


悔しくて


いつまで この状態が続くのだろう?と────



彼、陽斗君は、どう思ってるのかな?なんて───



嫌になってないのかな?


そんな事を考える



陽斗君は優しくて


ちょっとチャラっぽいけど


だけど面白くて


突拍子もない事を言ったりして驚かされるけど


陽斗君の存在は何処か大きかった




陽斗君と出逢ってから、一年を過ぎた、ある日の事だった────



ふと街に出た。


一人街をブラつき、一人ショッピングをしていると───




ドンッ


背後からぶつかられた。



「きゃあっ!」



ドサッ



転倒する私。



「すみません…大丈夫ですか?」

「はい…」

「怪我はないですか?」

「大丈夫です」



スッと手を差し出され私は相手の手を借りて立ち上がる。




「ありがとうございます」


ドキッ



「いいえ。怪我してないなら良かったです。それじゃ」

「…あ、あの…!ま、待って下さいっ!」

「はい?」



「………………」



「な…名前!」

「名前?えっ?誰の?」

「あ、あなたの」

「俺の!?」


「…はい…下の名前…いや…あの…ちょっと知人に似てるなと思って、せめて名前だけでも…」


「陽斗…ですけど…」



ドキーッ




「えっ…?」




私は一瞬、時間止まったような気がした



まさかの偶然?


だけど偶々同じだけなのかもしれない




「君は?」

「えっ…?あ…私は…琳音です」



「………………」



「…あの…」

「すみません。知り合いの名前と同じ名前だったので…」

「そうだったんですね」



《だけど…もしかすると…もしかするかも…?》

《…でも…》



「「あの!」」



私達は同時に口を開き言った。


お互い同時に譲り合う。


そして彼から




「もし違ったらすみません…先程、知人に似てるとかで?」

「えっ?あ、はい…」

「写真か何かですか?」

「はい…写真です。あるサイトで…」

「あるサイト…」



そして、その後、私に色々と質問してきた。




ドキン



間違いない


彼は…



「こんな偶然もあるんだね」



ドキン



「そうだね」



質問していた敬語から普段の会話になる。


私達は、すぐに連絡交換をする事にした。


彼・陽斗君は写真通りの人。


写真よりも実物が更に良い



「後で少し時間もらえる?」

「えっ?あ…うん…」

「良かった」



私達は移動し、とある喫茶店に足を運ぶ。



「すぐに戻って来るからここにいて」

「えっ?あ…うん」




そう言って喫茶店を後に私達は一旦別れる。



♪♪~…


【本当に信じられない】

【来る前に連絡するね】



彼からのメッセージ



ドキン


♪♪♪~…


【うん。分かった。待ってるね】




私も信じられない気持ちで一杯だった。


こんな偶然もあるんだって……


お互い迷う事なく、即、連絡交換。


彼・高山 陽斗(たかやま はると)君。29歳。



そして彼からの連絡が来て私達は再会し話をする。


あっという間に時間は過ぎる。


別れたくないし、もう少し一緒にいたい


そう思うも


そういうわけにはいかず…



「それじゃ…そろそろ…」

「琳音さん帰っちゃうんですか?」

「帰るよ。一緒にいると帰りたくなくな…」

「もう少し一緒にいて欲しいな」



ドキン



「ず、ズルいよ」

「とりあえず店出よう」



私達は店を出る。



スッと私の手を掴む。




ドキン



「少しでも思い出増やしたいから」

「そっか」





夢なんかじゃなく現実で


私の隣には


毎日のように


メッセージをやりとりしている


彼・陽斗君がいる


会える確率は少ないのに


奇跡的に会えたということは


本当運命なのかな?




「…まだ夢見てるみたい」

「えっ?」


「だって隣には毎日メッセージをやりとりしている琳音さんがいるから」


「それは…私も一緒だよ」


「そっか!それは良かった!」




私達はしばらく街をブラつく。




夜────




「それじゃ」

「…うん…」




陽斗君は偶々、出張の為に、こっちに来ていて仕事が終わってから帰る予定だった所に私と偶然に会った所で───




「今日は付き合ってくれてありがとう」

「ううん。私の方こそありがとう」




私達は別れ帰って行き始める陽斗君の後ろ姿を見つめる。




私の事どう思ったかな?


そんな事を思いながら私も帰り始める。




グイッ


背後から引き止められ、フワリと抱きしめられた。




《……えっ……》




「琳音さん」



ドキッ




「陽…斗…君…?」

「琳音さん。一つお願いがあるんだけど」

「お願い?」




振り返らせると両頬を優しく包み込むように触れる。




ドキン…




「陽斗君…?」

「キスして良い?ていうか俺がしたい!」




ドキッ


「…えっ…?それは」



「駄目…?」

「いや…駄目とかじゃなくて…えっと…突然過ぎ…」



キスされた。


オデコ同士をくっ付ける。



「やっと会えた記念に触れておきたくて…」

「陽斗君」


「それと…会って直接言わなきゃと思ってた。遅くなってごめん…俺と付き合ってほしい」



ドキン




「琳音さんとは、これからもずっと一緒にいたいから」



ドキン




「付き合ってくれる?」


「そんなの当たり前だよ。だって私達は既に付き合ってるのも同然だよ」


「…良かった…」



私達は別れ、それから連絡を取り合い何度かデートを重ねた。




そんなある日────




「ゴメン!急な仕事が入って!」

「えっ!?」

「本当ゴメン!埋め合わせするから!」

「…そっか…分かった…頑張ってね!」




久しぶりデートの予定だった。


まさかのドタキャン。


初めてだった。




♪♪~


【今日は本当にごめん!まだ掛かりそうだから又連絡するね】

【おやすみ】



それから何度も何度も繰り返される状況が続く。


彼はメールのやりとりをしている時から仕事人間だって事は分かっていた。


上司や取引先とか呼ばれては会議だったり会食だったり後輩の相談にのったりと本当に忙しい人なのだ。


私は仕事優先にしてもらって良いから無理しないで欲しい。


ただ、それだけだった。


何一つ文句は言わない私に陽斗君は『いつもありがとう』


そう言ってくれていた。



そんなある日


『今から会えない?』


そう言われた。


突然の事だった。


迷うも会う事にした。




「ゴメン…」

「ううん…」



「………………」



「それで?どうかしたの?」

「会いたかったから」



ドキン



「いつも約束守れなくて仕事ばっかで琳音さんに、いつも甘えてばっかで埋め合わせするとか言って」


「大丈夫だよ。陽斗君は仕事で忙しいって分かってた事だから」


「琳音さん…」


「だから大丈……」




グイッ


抱きしめられた。



ドキン



「琳音さん…嫌いになったりしてない?」

「えっ!?どうして、そう思うの?」

「口ばっかで約束全然守ってないから」



私は抱きしめられた体を離す。




「気にしなくても大丈夫だよ。だから安心して」


「琳音さん…優しいから遠慮しないで言って。俺、琳音さんの事知ってるつもりだけど、まだ知らない事ばっかで我慢ばかりさせてるって思って自分責める事あるし」


「別に責める必要ないよ。本当に大丈夫だから」



「………………」



「陽斗君こそ無理しないでね」


「琳音さんこそ我慢しないで言って。お互いの気持ちは大事だし言わなきゃ分からないから一人で抱え込まないで」



ドキン…



「陽斗君も本当優しいんだね」


「琳音さんだから」



ドキン



「特別な人だから」



フワリと抱きしめられた。



「だから、ずっと傍にいて俺から離れないで」



私も抱きしめ返す。



「大丈夫だよ。離れたりしないから。陽斗君も私から離れたりしないでね」


「俺は離れたりしないよ。離れたくない理由があるから。何があっても離れないし離さない」



抱きしめた体を離すと片頬に触れキスをする陽斗君。



「…陽斗君…」



再びキスをされ深いキスをされる。




今まで付き合ってきた相手(ひと)の中で経験した事ないキスに私は頭が変になりそうだ。


何でだろう?




「琳音さん」

「何?」

「大好きだよ♪」



ドキッ


「いや…大好きより愛してるかな?」




ドキッ


かあぁぁぁ~


私は面と向かって言われ赤面状態。



「顔赤いよ」

「仕方ないでしょう?」




クスクス笑う陽斗君。


この時間が本当に幸せで楽しい。



「陽斗君」

「何?」

「ううん何でもない。大好き♪」



「………………」



「陽斗君?」

「琳音さん不意打ち反則!」

「えっ?それは陽斗君も同じでしょう?」


私達はしばらく話をして別れた。



そんなある日のデートの日の事だった。



「はい!」

「えっ!?」



陽斗君は誕生日でもない何でもないのに花束を私に差し出した。




「サプライズ!」

「サプライズ?」


「そう!俺サプライズしたくなるから!勿論、友達とかにするのも好きだけど、やっぱり愛する人にしたいじゃん」


「そうか」


「あっ!もしかして花嫌いだったりする?」


「ううん。大丈夫!花、好きだよ。ありがとう!サプライズに驚いちゃって」


「そっか。嫌いじゃないなら良かった」



私達はデートをする。



そして──────



「それじゃ、またね。今日はありがとう」




グイッ


引き止められた。



「陽…」



キスされた。




「………………」



指をからめてくる陽斗君にドキドキと胸が加速していく。



再びキスをされ深いキスをする。




「もう少し時間くれない?」


「時間?」


「そう。駄目かな?」


「別に駄目じゃないよ。大丈夫」


「良かった。もう少し一緒にいたいと思ったし、いつものお礼したくて」


「お礼?」


「そう、お礼」


「お礼なんて良いよ。逆に申し訳ないから」

「そう言うと思った」


一先ず私の部屋に陽斗君を入れる。



「急がなくて良いから」

「うん……」



とは言ったものの待たせるのは申し訳なく思う。


「ゴメン!陽斗君」

「いいよ。大丈夫。その代わり……」



グイッと


引き寄せられる。



ドキン

キスされた。



「待たせた罰」


「罰って……」



クスクス笑う私。



「えっ?どうして笑うの?そこ笑う所じゃなくない?」


「可愛いなと思って。本当、陽斗君みたいな人、初めて会ったよ」


「そう?」


「そうだよ」



そして陽斗君の運転で車を走らせる。


車は高台に向かっているようだ。



『何処に行くんだろう?』



そう思う中、突然、一気に道が開け目の前には





「うわぁ~~…凄-ーい…綺麗ーー…」

「…良かった…気に入って貰えたかな?」

「うん…ありがとう」

「琳音さん」

「何?」



名前を呼ばれ振り向く。



ドキン



街の明かりと月明かりが幻想的で薄暗い中、陽斗君の顔が妖艶で私の胸はドキドキと早鐘を打つ。


スッと片頬に触れる陽斗君。



ドキン



グイッともう片方の手で後頭部を押したかと思ったらキスされた。


一端唇が離れると、すぐに唇を塞がれ何度も深いキスをする中、お互いの吐息が洩れる。



「琳音さん…好き…」




ドキッ



「…愛してる…」



ドキン




「…陽斗…君…私も…好き…愛してる…」



キスをして唇を塞ぐ陽斗君。


深いキスをすると首筋に唇が這うものの動きが止まった。



「…陽斗…君…?」


「…ごめん…続きは後で。本当は、すぐにでもとは思ってるんだけど…」



そう言うとキスをし私から離れると車を運転した。



私達は他愛もない話をしながら帰る。


しばらくして



「琳音さん?琳音さん」

「あっ!ごめん…」



私は、コクリ、コクリと頭が揺れ睡魔が来ていた。




「疲れてるんだね寝てて良いよ」

「大丈夫だよ」

「無理しなくても良いよ」

「本当に大丈…」




車脇に止めたかと思うと


ガタン


助手席の椅子を倒された。



「きゃあ!」



ブランケットを取り出し私に掛ける。



「大人しく寝る」



髪を撫で、おでこにキスをする。


ドキン



「おやすみ」



そう言うと再び車を走らせる中、私はいつの間にか寝ていた。


ふと目を覚ますと見慣れない部屋。



「ここ…あっ!」



私は記憶を辿る。



「陽斗君の」



すると──────



脱衣場から出て来る陽斗君の姿。




ドキン


目が合い胸が大きく跳ねる。



「目覚めた?」

「…うん…ごめん…せっかくのデート…」



キスされた。

ふわりとシャンプーか石鹸かを思わせる香り。



「良いよ。気にしてないから。逆に2人の時間増えた」



ドキン



「…陽斗君…」

「シャワー浴びる?」

「えっ?あ…うん…」

「お風呂セットは自由に使っていいから着替え出しとくね」

「あ、うん…ありがとう」



私は脱衣場に案内されシャワーを浴びる事に。


脱衣場を出る頃には既に緊張気味な私。


何する訳じゃないだろうけど、でも何処か期待というか覚悟はしてるんだけど…



「おかえり」



笑顔で迎える陽斗君。



「た、ただいま」



なんか新鮮だ。

しかも可愛い笑顔で出迎えだ。


私は笑みがこぼれる。



「どうしたの?」

「ううん…なんか新鮮だなと思って」

「えっ?」

「こういう事ってないから」

「じゃあ俺も新鮮かも」

「えっ?」



歩みよるとフワリと抱き抱えられた。


ドキッ


お姫様抱っこだ。


するとベッドにおろし私の上に股がる。


胸がドキドキ加速する。




「…続き…する?」




ドキッ



「えっ?」



「………………」



視線がぶつかる中、私の胸がドキドキと早鐘のように加速する。


スッと片頬に触れる。



ドキン


顔が近付くとキスされた。


そのまま唇が首筋を這い私を見る陽斗君。



「大丈夫?怖くない?」


「…怖くないとは言えない…正直…怖い…緊張してるのもあるけど…久しぶり過ぎるのもあるし…」




頭を撫でる陽斗君。



「俺も…凄い緊張してる…やっと会えて、やっと触れられるって思ったら…」


「…陽斗君…」


「…それに…」



「………………」



「…それに…?何…?」

「な、何でもない」



離れようとする陽斗君。


私は引き止め抱きしめる。




「琳音…さん…?」

「陽斗君が緊張してるなら私も一緒だよ。一緒に頑張ろう」




私達は、お互いの事を確認しながら一つになった。






ねえ 神様



あなたは



どれだけの人達が幸せになる為に



魂を引き離したのですか…?



私達みたいに



逢えた事は



本当に奇跡的としか思えない……



皆さんに沢山の幸福(しあわせ)が



ありますように……☆彡









~ E N D ~



今の世の中、

色々ありますが皆様に沢山の幸せが訪れますように……♪


大きい幸せも小さい幸せも自分が幸せだと思える瞬間は

あなたにとっての『幸せ』だと思います(^-^)


読んで下さりありがとうございますm(_ _)m


































































































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もう一つの魂~あなたはこの出逢いを奇跡だと思いますか…? ハル @haru4649

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