第2話✿神鳥と世界ふれあい街歩き・2
※近況ノートにフィーの絵姿の改稿をUPしました。
❁✿✾*✾✿❁︎
「所でフィー様に護衛兼案内人をお付けしたく思うのですがいかがでしょうか?」
朝ご飯の後、ハーレルーヤさんがそう提案してきた。
そういえば、この世界の地図は知っていても細かな場所や名産品なんかは知らない。
「そうですね……」
どうしようかな。
まっさらな状態での諸国漫遊も捨てがたいのよね。
「私も失念していたのですが、フィー様は行商もなさりたいとおっしゃいました。が、お金の価値等はお判りでしょうか?」
「あ……!」
そう、お金。
天界にはお金はあるけれど、この箱庭世界の通貨は解らない。
多分、私たちとは違う価値なんだろうな、とは予測できる。
そんな私が、この世界で行商人なんかやっていける? 答えはノーだ。
ここは素直に、ご厚意に甘えよう。
「そのための案内人でもあるのです」
「わかりました。ぜひともお願いしたいわ」
「ありがとうございます。シャルマール、入ってきなさい」
と、ドアの向こうにハーレルーヤさんが声を掛けると、一人の騎士が頭を下げて入室してきた。
「失礼いたします、法皇様。フィー様、お初にお目にかかります。私はシャルマール・エイゼンボルグと申します」
騎士の礼、というのだろう。
心臓の部分に右の拳を当て、左手は後に、そのまま45度くらいに体を折って挨拶をしてくれた。
緑に透ける黒い髪に黄昏のようなオレンジに近い金の瞳、身を包む白銀の鎧はおとぎ話の王子様のような出で立ちだった。
「このシャルマールは先日
「そんな方が私の案内人などをしてもよろしいのでしょうか?」
「フィー様。私たちはフィー様に対しても主神・神龍様と同じ礼を尽くしているだけです。私が最も信頼しているシャルマールを伴って頂ければ憂いは少なくなるかと」
要するに、世間知らずの妹神に何かあったら神龍ちゃんに向ける顔がない、と。
それはそうよねぇ。
ちら、とシャルマールさんを見れば、なにやら真面目な顔をしている。
一応、ハーレルーヤさんに私の事を聞いていたのだろう。
「シャルマールさんは……」
「宜しければルマ、とお呼びください。フィー様」
「ルマさんは……」
「ルマで結構ですよ」
「あ、はい。では……ルマはそれでいいの?せっかく
素直にそう聞いてみた。
だって、意に添わぬ任務っていやじゃない?
私だって不得意な仕事の時はたっぷりと時間ギリギリまで、できれば期日も伸ばしてもらってやるんだもの。
「僭越ながら、私の方が
「フィーでいいわよ?それにこの世界での先輩は貴方なんだから、私の方が申し訳ないくらいだわ」
「いえ……、そんなことは……妹神様ですし……」
「フィー、よ?口調も砕けたものにしてちょうだい?」
私の言葉に、ルマは困ったようにハーレルーヤさんを見た。
「シャルマール、今の主人はフィー様ですよ」
その一言に、ルマは意を決して私を呼んだ。
「その……フィー。解った……」
「ありがとう、ルマ。ハーレルーヤさん。私をルマに合わせてくれてありがとう」
「こちらも嬉しく思います、フィー様」
こうして、ルマと私は神殿から路銀を頂いてから、旅の準備をするのであった。
囀蒐ー咲桜王冠の歩き方ー 葎璃蓮 @cyowa-rin
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