囀蒐ー咲桜王冠の歩き方ー

葎璃蓮

第1話✤神鳥と世界ふれあい街歩き・1

※近況ノートに五大王国の地図があります。参考までに。

8/27:誤字修正。フィーの絵姿を近況ノートにUPしました



 ❁✿✾*✾✿❁︎



 私は神鳥・シャリマティアーナ。

 神鳥と言うくらいなので神様なのです、えっへん!

 私の他には神龍ちゃん、神華ちゃん、神亀ちゃん、神琥ちゃん、神蝶ちゃん、神馬ちゃん、神象ちゃん、神蛇ちゃん等など、色んな神様がいます。


 私達のお仕事は箱庭世界の管理。

 私たちよりもいと尊きお方である姫様が、最初に1人に1つずつ与えられたのがこの箱庭でした。

 それぞれが好きなように箱庭世界を作り、慈しみ、愛し、時には叱咤激励もして育ててみなさい、とお渡しになられました。

 最初はなんでこんな面倒くさいものを……と思いましたが、今では姫様の言いたいことが少しだけ解ります。


 自分の育てた箱庭世界が順調に発展して行くのは見ていて愛しくなり、争いや災害で国が滅べば悲しむ。


 そんな箱庭世界も安定期に入ると、休暇を申請して他の箱庭世界に慰安旅行に行くことができるのです。


「ねー。神龍ちゃーん。良いでしょー?」


 私は申請書を持って、神龍ちゃんの所へ行きました。

 神龍ちゃんとは1番仲が良く、神華ちゃんと共に姉妹として育った仲なのです。


「うーん。神鳥のとこの世界……フィーゲルハウトが安定期に入ったら、参考のために行かせて貰えるならいいわよ」

「うん!大歓迎よー!」


 フィーゲルハウトは私の育てている箱庭世界の名前です。

 神鳥なので鳥にちなんだ名前にしました。

 もちろん、この世界の神殿はフィーゲル教で、私を主神として祈りを捧げてくれています。

 この箱庭世界を発展させるためには祈りの力が必要で、そのポイント数で拡張したり、大地を作ったり出来ます。

 聖女や勇者システムも、この祈りの力で交換できるのです。

 神龍ちゃんの所はその聖女や勇者システムと既に導入していて、仲間内では良く発展している方だと言ってました。

 神龍ちゃんの所はサクラクラウンと言います。

 何となく、桜の花びらみたいに大きな国を5つと小さな島々を作ったから、と言ってました。


 なので、そのサクラクラウンに行くのが楽しみでした。


「じゃあサインをするわね。これがうちの注意書き。これさえ守ってくれれば好きにしてもいいわよ」

「うん!ありがとう、神龍ちゃん。早速姫様にお願いしてくるね!」


 こうして私は姫様の許可の元、神龍ちゃんの箱庭世界、サクラクラウンに旅行にことが出来たのです。


 神龍ちゃんに神託をしてもらい、予告時刻に神皇国に降り立ちました。

 そこには神龍教の法王様、ハーレルーヤさんが待っていてくれました。


「待たせたかしら?」

「いいえ、神鳥様。時間通りです。まずは湯浴みとお着替えを。それからこの世界の事を少しお話し、神鳥様の望みに合うプランをご提示致します」

「わかったわ。この世界を旅行している間、面倒をかけると思います。ですが御恩を受けたことはしっかりと神龍ちゃんにお伝えしますね」

「ありがたき幸せ」


 法王様はそう言うと、女性神官に目配せして、私を別室に連れていった。

 そこで湯浴みをして、こちら側の服を提供してもらった。



 ❁✿✾*✾✿❁︎



「神鳥様は……」

「あ、こちらではフィーと呼んでください」


神様は名前を教えちゃいけないからね。

私のフィーゲル教から名前を貰うことにした。


「かしこまりました。フィー様はこちらではのんびりと諸国漫遊、という観察をしたいとの事でしたが、これが大筋で宜しいでしょうか?」

「はい。のんびりと行商しつつ、色んな場所をみてみたいです。神龍ちゃんが細かなところまで頑張って作った世界だもの。全部見たいわ!」


 嘘偽りなくそういえば、法王様はにっこりと笑ってくれた。

 そりゃ、自分とのこ主神が褒められたら嬉しいものね。

 着替えが終わったら応接室に案内され、お菓子とお茶を頂いた。

 美味しいな、これ。


「五大王国特別自由貿易許可証は既に取ってありますので、この世界でならどの国でも税金免除で行商が出来ます。また、資金が不足しましたら各神殿まで来て頂き、こちらを見せれば当面の生活費を支給することが可能です」


 と、法王様は銀細工出できたブレスレットを渡してくれた。

 アイビーの葉をモチーフに、緑色の宝石が嵌め込まれている。


「特殊な魔宝石に各神殿への命令書が刻まれています。神官なら誰でも閲覧できますので、ご不便はないかと」

「至れり尽くせり、感謝します」


 それでは他の注意事項など、と法王様からの説明を聞いて、今日はもう神殿にある貴族のための客間でおやすみすることになりました。

 夕飯も美味しかった。

 私も度々、自分の箱庭に行って見てるけど、ここまで美味しくは無い。

 よし、この世界の食べ物を沢山食べて、自分の箱庭世界に生かそう!


 私はそう決意して、ゆっくりと眠りについた。


 明日から楽しみだなー。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る