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結騎 了

#365日ショートショート 238

 その職場は常に荒れていた。劣悪な労働環境とギスギスした人間関係は、とっくに臨界点を超えている。

「おい新人!はやく求人広告を出せって言っただろ!人が足りねぇんだよ!」

 椅子にふんぞり返り、机に脚を踊らせ、上司は部下に怒号を浴びせた。

「は、はい。すみません。今すぐやります」

 部下はパソコンを開き、求人サイト用の原稿を打ち始めた。

 タバコの臭いが充満する部屋でねちねちとした悪態が続く。

「……ったく。使えねぇなァ、お前は。さすが三流大学卒だよ。モノを知らねぇ、言葉を知らねぇ、常識もねぇ。なんでこんなやつ雇ったんだよ、うちの会社は」

「すみません、すみません……」

 カタカタと、部下はキーボードを叩き続ける。

「ほらっ、足りてねぇのは深夜の労働なんだよ。住み込みで働ける人、って条件つけとけよ」

「は、はいっ。えーっと。住み込み。職場に住むってことか。えーっと。アットホームな職場です、っと」

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