#29 ハーレム化計画(笑)
『久保皐月ハーレム化計画』
花園が何故この計画を進めている(進めてない)のか理由はわからない。
しかしながら、これは私にとって実に悪くない話である。
皐月きゅんが複数人の女性を侍らせるド腐れ変態ヤリチン男になれば、私の事も気軽に性処理要員として使ってくれる事だろう。それはもう所構わず私の事を呼び出しては己の欲望の捌け口にしてくれる筈だ。
はぁ……何それゾクゾクしちゃう(恍惚)
花園、不本意だが貴様の計画に乗ってやろう。あー不本意不本意ー。
となれば、私は皐月きゅんがハーレムを作れるようにサポートに回るべきだ。
そうして私の桃色の脳細胞が動き始める。
◇◇◇
部屋を追い出された。
俺は緑ちゃんを食い物にした最初の罰として、買い出しを命じられていた。
ぎゃーすかと本人そっちのけで皐月くんお仕置き会議が開催されていた訳だが、不意に誰かが、みんな何も食べていないことを指摘した。言われて気がつく夕飯食べてない、と。
夕飯は涼花が用意してくれていたが、流石にあの人数が俺の部屋に集まることなど予想出来るはずも無く、明らかに量が足りない。
というわけで俺は買い出しの為に24時間営業のスーパーに向かっていた。すっかり暗くなってしまった夜道をひとりで歩く。
なんでこんなことになったんだろうなぁ……俺が一体みんなに何をしたというのか……。
やっぱり、みんなは俺の事を好きなんだろうか?
まぁ、緑ちゃんはあんなんするぐらいだから、俺の事が好きなのは確実か。正直、どうして好かれたかは、わからない。
だって緑ちゃんとは普通に会話した記憶しかない。
まさか会話しただけで好きになったとでも?いやいやそれは流石に無いだろう。もしそうだとしたら緑ちゃんはどんだけチョロいんだ。こう考えるのが、もう本人に失礼なレベルだ。
かといって他に緑ちゃんに何かしたかというと、そんな記憶も無いしなぁ……。
聖歌ちゃんはどうだろうか。
聖歌ちゃんはガラの悪い連中から助け出すといった明確に好かれる理由が無い事も無い。
しかし、それもわりと前の話だ。
直後に好意を持たれたのならわかるが、そういう訳ではなかった。
聖歌ちゃんとは普通に友達だった。明確に好意を持たれてると感じた事は特にない。
それが今週になって豹変した。あからさまな態度に俺好かれてる?なんても思うようになったわけだが、理由がわからない。いやだって聖歌ちゃんとは普段通りに接してたし、これといって何かした記憶が無いしなぁ。
続いて涼花も、美春も、同じようなもんだ。特別、何かした記憶は無いのにどこかおかしくなった。
鳥乃先輩については考えるのをやめた。脳が壊れる。
鈴木はついさっきの事だし、決闘でおそらく何かあったのだろうとは思うが、そも決闘の記憶が無い。
カズは……まぁアイツは普段通りアホだな。この現状で1番の癒しだと言ってもいい。流石は我が親友。変わらぬ
どれもこれも本当に何かした記憶が無い。
記憶が無い?
もしかして記憶が無いだけで俺はみんなに何かしたのか?
◇◇◇
「私はこの催眠アプリを使い。皐月きゅんと肉体関係を持った」
「「「「「「……ッ!?」」」」」」
鳥乃先輩の突然の告白にみんなが驚愕に押し黙りました。
ま、まさか鳥乃先輩も催眠アプリを持っていたなんて……。
しかもそれで皐月くんと肉体関係を、持った?そんなの、嘘ですよね……?
「さ、催眠アプリ……ですか?」
私はあたかもそれがなんなのか分からないと言った風を装い聞きました。
「ああ、催眠アプリだ。これを使うと相手を自分の思い通りに操ることが出来てな。最初は軽い気持ちだった。皐月きゅんが誰を好きなのか知りたくてな。それでコレを皐月きゅんに使用したんだが……」
鳥乃先輩は全員に目配せしながら言いました。
「彼の好きな人は……私では無かったよ」
それは当然です。だって皐月くんが愛してやまないのは私なんですから。
「だが私はそれを聞いても、どうしても彼の事が諦めきれなかった……好きだったんだ彼の事が……好きな気持ち抑えきれなかった……だから催眠アプリの力を使い彼に抱いてもらったんだ……」
鳥乃先輩は悲壮感を漂わせながら暗い表情で項垂れています。目元には僅かに涙が溜まっていました。
「彼にも、彼の好きな人にも本当に悪い事をしてしまったと思っている。私のした事は許されないことだとはわかっている……だが!」
鳥乃先輩はその場で膝をつき、床に額を押し付けました。土下座です。
「もし!許されるのなら!なんだってする!都合のいい女で構わない!私は彼の傍に居たいんだ!お願いだ!彼の傍に居させて欲しい!」
鳥乃先輩が嗚咽混じりに叫びます。
誰、とは言いませんでしたが、間違いなくコレは他の誰でもない私に向けた言葉でしょう。
皐月くんと皐月くんの好きな人――つまり私に対しての言葉です。
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