#5 ツンデレ幼なじみと?




「まさかホントに効くなんて……」



私、矢田美春は虚ろな目をして心ここに在らずといった状態の幼なじみの久保皐月を見て思わず呟いた。


あの女から貰った催眠アプリ。


スマホの画面を見せた相手を催眠状態にし、自分の思うままに操ることが出来るという事だったが。


半信半疑、というかほぼ信じていなかったが、こうして様子のおかしくなった皐月を見るに信憑性が増した。


しかし、まだ完全に信じる事は出来ない。


これから私がしようとしている事を考えると本当に催眠状態で私の言うことをなんでも聞くのか試して確証が得られないと色々不味い。



パシーン!



とりあえず皐月の頬を引っぱたいてみた。



「…………」



しかし皐月は無反応。痛がる様子も文句を言ってくる様子も無い。



これは本物かも知れないわね……。



「皐月、アンタ、エロ本隠し持ってるでしょ?何処に隠してあるか白状なさい」


「ベットの下に秘密の床下収納があって、そこに隠してある」



勢いよく立ち上がった私は皐月のベットに直行し、ベットをひっくり返す勢いで、その下を隈無く調べた。すると非常に分かりづらい所に床下収納を発見。すぐさま中を確認すると数冊の薄い本が出てきた。



全部、幼なじみの女の子とイチャラブするエロ本だった。



それを握りしめて皐月の元に戻る。



「あ、アンタ!こ、ここここういうのが好きなのッ!?」


「はい。俺は嫌われてると思ってたツンデレ幼なじみが実は自分の事が好きで、本当は素直に慣れなかっただけだった事を知り和解してイチャイチャする系のエロ本が大好きです」



衝撃の真実が私を襲った。



それってまるっきり私の事じゃないのよぉおおおおおおッッッ!!!



私は皐月の事が好きだ。


だけど、幼い頃から何をするにもずっと一緒。常に行動を共にしていたのだが、中学ぐらいから周囲に夫婦だなんだと、からかわれ始めた。


中学生の私にとってその事が凄く恥ずかしかった。


それが原因で皐月にはちょっとだけキツい態度になってしまっているけど、本当は皐月の事は大大大好きだ。


ずっと一緒に居たいけど周りからからかわれるのは恥ずかしくて、素直になれなくて、心とは裏腹の言葉ばかりが口から出て、行動として現れた。


でも、まぁ、皐月との付き合いは長いし、皐月は私の事を1番に理解してくれている。私がどんな態度を取ろうとも本当はどう思っているかなんて当然分かっているはずだ。


現に一緒に居てくれるし、だいたい言うこと聞いてくれるし、私の事を嫌っている様子もない。むしろ私の事を好きなのは間違いない。


幼い頃にした大きくなったら結婚しようね!という約束も未だにちゃんと覚えているし、いずれはそうなるとも思っている。


だけど最近になって皐月の周りにはあの義妹を含めてやたらと可愛い子が群がっている。皐月は私の婚約者なのに。


皐月も結婚の約束を覚えていて、私の事を1番に好きだということはわかっているが、ああも周りに可愛い子が居ると不安にもなってしまうのが乙女心というものだ。


だからこそ、この催眠アプリを皐月に使おうと思ったわけだが……。



今ので確信した。この催眠アプリは本物だ。



「皐月……アンタ、私の事をどう思ってるの?」


「美春は幼なじみでかけがえの無い、家族も同然の大切な存在だ。だけど、最近はちょっとキツい態度をされて嫌われてるんじゃないかって不安になってる」


「そ、そんなことないわよ!私は皐月の事……その……なんていうか……もう言わせんじゃないわよ!」


「でも、それが助かってる所もある」


「は?」



助かる?それってどういう事よ。



「中学ぐらいから美春の事を意識し始めた。どんどん可愛くなってくし、体も女性らしいものに成長していってる。俺は美春の事を1人の女性として見るようになっていた。これで昔の様にデレデレの甘々で対応されていたら俺は美春に襲いかかっていたかも知れない。だけど、美春の態度はキツくて嫌われてるかも知れないと思っているから俺は理性を保てている」


「そ、それっ!ホント!?ホントにそんなこと思ってたのッ!?!!」


「ホントだ。俺は美春の事を幼なじみとして大切に思いながらも、1人の女性として好きだ」


「ふ、ふぁあああ……ッ!?」



私は思わず頭を抱えてその場に蹲る。全身が熱い。顔はもっと熱く火照っている。


ウソウソウソウソウソウソ。ホントにホントのホントで皐月は私の事を女としてして見ていた?そうして襲いかかりたいぐらいには可愛いって思ってた?


なにそれなにそれなにそれ!


どうしようどうしようどうしよう!


もうなんかホント嬉しいんだけど!


イヤ知ってた!知ってたんだけど!皐月が私の事を好きだって言うことは知ってたんだけどね!


やっぱりこうして本人に直接言われると嬉しい。


実はめちゃくちゃ私のことを可愛いと思ってて、今すぐにでも押し倒したいほど大好きだったなんて!


あぁ!もうなによ!皐月も私と同じこと考えてたのね!あれこれいろいろ悩んでた私がバカみたいだわ!



こんなあっさり皐月の本音を引き出すなんて……やるわね催眠アプリ!


私は過去1番に舞い上がるに舞い上がっていた。


よし!皐月の本音が知れた以上あとやる事はひとつしかないわね!覚悟を決めるのよ、私!



「さ、皐月……」


「はい」


「そ、その……アンタが私にしたくて我慢してる事……全部していいわよ……?」


「あっ……あっ……うがぁぁああ!」



理性という檻から解き放たれた皐月に私は押し倒された。




◇◇◇




乱れた呼吸を整えながら私は行為の余韻に浸っていた。



さ、皐月……激しすぎ……!



理性から解き放たれた皐月はまさにケダモノだった。


全部していいとは言ったが、まさかあんな事までしてくると思わなかったわ……。


でも、皐月に求められている事が嬉しくて、私はその全てを受け止めた。催眠状態にある皐月に命令をすれば辞めさせる事も出来たが、それはしなかった。


だってそれは普段から皐月が私にしたいと思ってた事だ。私であんなことやこんなことをしたいと思っていたのだ。


幼なじみで大好きな皐月にそういう目で見られていたのだと考えると凄く興奮した。



しちゃった。私、皐月と最後までしちゃったのよね。



これでもう皐月は私だけのもの。あんなことまでされたのだ、しっかり責任はとらせる。既成事実が出来た。


スマホで行為中の事は撮影して動画で保存してあるから、もう言い逃れなんて出来ないし、させない。


これで皐月の周りをウロチョロする女共を黙らせる事が出来るわ。


流石に私と皐月が男女の関係にあるとわかれば、手を引くでしょう。皐月は誰にも渡さない皐月は私だけの皐月なんだから。他の女になんか絶対に渡さないわ。



それもこれも催眠アプリのおかげ。催眠アプリ最高ね!





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