生き甲斐として医者を続ける

 世間では「歳をとると、時のたつのが速い」と言う。

 物理的な時間は誰にでも共通なのに、老人だけ感覚的な時間が違うというのはなぜだろう。


 福岡伸一教授によると〈体内時計〉が関与しているらしい。

 この時計の秒針の動きは、体中のタンパク質の新陳代謝の速度に左右される。

 加齢により新陳代謝が遅くなると、体内時計もゆっくりと動く。

「老いたるや新陳代謝の鈍くなり体内時計のネジもゆるめる」医師脳。


 老人の感じる「5日くらいかな」が実際の1週間過ぎとなり、思わず「時のたつのは速い」と驚くのだとおっしゃる。

 御高説には納得できるものの、最近の爺医にとって「時のたつのは速い」とは思えない。

 むしろ毎週、金曜日の来るのが待ち遠しい。

「週一の勤めなれども医者として生き甲斐を得る残生のかげ」医師脳。


 フェイスブックで、弘前市医師会の澤田美彦会長に「在宅医療を手伝わせてくださる医療機関はないでしょうか」とメッセージを送ったところ、翌朝早く「医師会の健診センターでは人手不足です!」の返事が届いた。

 元医師会理事としては、手伝いをせぬわけにもいくまい。

 望みの在宅医療ではなかったが、日曜日のピンチヒッターを引き受けた。

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