「あんづます」と「ヒュッゲ」

 テレビのドキュメンタリー番組『北の果て一人生きる 浜下福蔵92歳』を見た。

https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2022124626SA000/

 現役漁師で詩人の浜下さんは礼文島生まれだというのに、穏やかな津軽弁で語る。

 それも、私の親世代が話していた懐かしい口調だ。

 かつてニシン漁で栄えた礼文島には、青森や秋田から多くの漁師が移り住んだという。


 我われ津軽衆にとって「あんづます」という言葉は、何物にも代えがたい響きを持つ。

 吹雪の夜でも、温かい風呂に浸かれば「あんづます」が出る。

 家族団らんで鱈の〈じゃっぱ汁〉を啜り、熱燗をやれば、やはり「あんづます」と感じる。


 世界で最も幸福な国民と言われるのがデンマーク人らしい。

 その幸せの秘密は「ヒュッゲ」というデンマーク語で表現される〈安心感〉だと言われる。

 まさに津軽弁「あんづます」ではなかろうか。


 浜下福蔵さんに幸多かれと祈りつつ一首。

  礼文島生まれの漁師九十二歳、語る津軽弁にルーツを晒す(医師脳)

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