第57話 秋分にあはせしごとく気温さがり大学イモの温さありがたし
「秋分にあはせしごとく気温さがり大学イモの温さありがたし」―。
買い物に出かけた妻が〈移転開店〉のチラシに誘われて大学イモを買ってきた。
中央市場にあった昔の店は、市場の閉鎖で引っ越したそうだ。
「ちょっと値上げさせてもらいましたって、おかみさんが話してた」と妻はうまそうにつまむ。
◇
よく見るとイモの形が違う。
先代のは三角で「乱切り」というらしい。
細長い材料を回しながら大きさを揃えて斜めに切る。
切断面が大きいから火の通りが早くて味の染み込みがよくなるのだとか。
二代目が乱切りをしない訳もあるのだろうが、年寄りには昔の三角形の大学イモが懐かしい。
◇
代替わりで、そば屋も現代風な脂っこくてクドイ「○○ラーメン」になってしまうのが寂しい。
若者受けはするのだろうが、年寄りには「シナそば」だとか「中華そば」の味のほうがうれしい。
煮干し出汁で醬油味の透明なツユにうかぶ、細ちぢれ麺を一気に吸い上げる。
…と、思っただけで涎が出てくる。
◇
今日のベランダカフェは、フリースを羽織ってちょうどいい感じ。
ゴーヤーのカーテンも緑だった葉が黄ばんできた。
種を取っておけば、来年も同じ味を楽しめるはずだ。
代替わりしても…。
https://kakuyomu.jp/users/hyakuenbunko/news/16817330647640022953
(20220925)
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