第52話 エイジズムも肯定的に唱へれば亀の甲より歳の功なり
「エイジズムも肯定的に唱へれば亀の甲より歳の功なり」―。
エイジズムとは、年齢に基づく固定観念や偏見・差別のこと。
お年寄りにタメ口や赤ちゃん言葉を使うなどは典型的なエイジズムである。
また逆に高齢者だからと世話をし過ぎることも自主性を損ない尊厳を奪う。
今や(人種・性差別と同様に)エイジズムは重い差別とされる。
◇
米国の医師1万2千人を対象にした「専門分野にわたる医師のキャリア満足度」という報告がある。
それを見ると、老年内科医の「医師としての満足度」が突出しており、高齢化とともに増加していた。
おそらく老年内科医として、自分自身や家族・友人などの要介護あるいは死に思いをめぐらすことが関係しているのだろう。
◇
超高齢社会に向けて、定年退職した医師に老人医療を学ばせ再雇用してはどうだろうか。
老人の心理を自覚している老人医師の方が老人医療には適しているはずだ。
ちなみに私のような元産婦人科医の場合、老健入所者には女性が多いから「昔取った杵柄!?」となるかも…。
◇
かつての「経験豊富なお年寄り」と尊敬もされた古き良き時代を懐かしみつつ「老人を包括的に診らるるは老医なり」と爺医は自負する。
(20220920)
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