第42話 〈ユンボ〉とふ重機の動きおもしろく解体現場を離れ得ざりき

「〈ユンボ〉とふ重機の動きおもしろく解体現場を離れ得ざりき」―。


 プロの仕事は見ていて飽きない。


 段取りがイイのだ。


 私たち素人なら、ユンボの力に任せて気分よく一気につぶすだろうに…。


 後で分別する手間を考えるプロは、最初から廃材の種類ごとに取り出して山にする。

 と、タイミングよく運搬用ダンプが来て、分別済みの山から廃材を積み込む。


     ◇


 段取りと言えば、プロの料理人も凄いと思う。


 調理のタイミングを見計らい、最終的に美味しい料理を提供する。


 その調理中も片付けを忘れないので、調理場はいつも美しい。


     ◇


 昔の手術場では「機械出し」と呼ばれる看護婦さんが活躍していた。


 手術野から目を離せない術者の手に「パチン」と小気味よい音を立てて器具を渡してくれる。


 縫い終わった持針器など術野から出すだけで受け取ってしまう。


 ベテランになると、次の段取りを把握しているから、手術のペースも自然と早まる。


 あのころ助けてもらった白衣の天使たちは、今どこでどうしているだろう…。


     ◇


 テレビドラマで手術場のシーンを見ると、ついつい「違うだろう!」と思う。

 

 庭のモッコウバラをパーゴラに結わえる際、ヒモが緩まぬように出た技は〈外科結び〉だ。


 ―指は忘れていない。


(20220910)

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