第36話 土居健郎氏の『「甘え」の構造』を読み出すもバイクマシンの脚はまはらず

「土居健郎氏の『「甘え」の構造』を読み出すもバイクマシンの脚はまはらず」―。


 読書しながらバイクマシンをこぐ、名付けて〈ボケ予防バイタスク法〉なら脳と脚を同時に鍛えられる。


 すぐ読めるよう文庫や新書など軽いものを傍に置いてあるのだが、たまたま読みかけの本を手にこぎ始めた。


     ◇


 2007年に出版された増補普及版の冒頭『「甘え」今昔』は、こう始まる。


 ―「甘え」という非常にありふれた、したがって誰でもその意味を知っているはずのコトバを主題にした本書を世に問うてから三十年の歳月が流れた。(中略)「甘え」は本来特別に親しい二者関係を前提とする。それこそ相手あっての「甘え」である。―と。


 そしてこう展開する。


 ―しかしこのような二者関係の特異性重要性は近年急速に失われつつあるのではなかろうか。(中略)今や「甘え」といえば人びとは一方的な「甘やかし」かひとりよがりな「甘ったれ」のことしか考えなくなったのだ。―と。


     ◇


 家庭や学校の「崩壊」は止まらない。


 いじめが原因で自殺する子供の問題に触れ、土居氏は「しかし今やいざという時、子供達が頼れるところは無きに等しいのではなかろうか」と。


 机に向かいメモを取りながら読むバイタスク向けの名著だ。


(20220904)

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