第19話 精神科医中井氏逝かれその回向にと〈病院ダム論〉を読みかへしをり
「精神科医中井氏逝かれその回向にと〈病院ダム論〉を読みかへしをり」―。
8月8日、中井久夫氏が88歳で亡くなられたと聞き、著書の『新版精神科治療の覚書』を本棚から取り出す。
◇
冒頭「ダムとは、水力発電や灌漑に使うダムのことである。わが国の、極限近くまで開発されつくした河川のダム群は、急流の水に混る土砂で次第に、しかし着実に浅くなりはじめた。ダムの推定寿命は、一つ一つのダムについて計算されている」に、?が3個ばかりつく。
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読み進むと「この話は縁者の土木技師から聞いた。その世界では常識なのだろう。私は、これは精神病院にとても似ている話だと思った」とあり、落ち着き読み続けると…。
「考えれば考えるほど精神病院はダムに似ている」の辺りで〈精神病院〉が〈介護老人保健施設〉と読めてしまう。
◇
老健施設は(在宅復帰を支援する)中間施設であったはずが、入所長期化で「第二特養」と皮肉られてもいる。
地方の現実を見るに「在宅復帰」は御題目に過ぎないのかも…。
否、そもそも論として、老健(医療・介護)と特養(介護・住まい)では役割が違うはず。
そのうち〈老健ダム論〉でも書こうかな、と降り続く強い雨音に思うのである。
(20220818)
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