第18話 いざ褒めむ褒むれば連鎖し世は平和。これぞ間接互恵性なる

「いざ褒めむ褒むれば連鎖し世は平和。これぞ間接互恵性なる」―。


 〈いわて働き方改革AWARD2018〉を受けた時に詠む。


 当時勤務していた老健施設で、職員が感謝を伝え合う〈いいね!賞〉により、職員の意欲アップとコミュニケーション拡大などが評価された。

                  岩手日報(2019・01・23)掲載。


     ◇


 ハインツ・コフートの自己心理学では「人間は自己愛を満たされたい存在だ」と言う。


 さらに「その自己愛を満たすためには(自己満足よりも)他人から褒めてもらう方が効果的だ」とも。


 誰かに褒められた場合、褒めてくれた人を褒め返すという行為は〈直接的互恵性〉なので連鎖は起こらない。


 しかし(褒めてくれた人ではない)他の誰かを褒める行為〈間接的互恵性〉なら連鎖の輪は広がるはずだ。と信じていたが…。


     ◇


 中島岳志著『思いがけず利他』を読み〈利他の困難さ〉にも気づかされた。

 ―偽善・負債・支配・利己性…など、利他的になるのは簡単ではない。そこで大切なのは、利他の本質には人間の意志を超えた〈思いがけなさ〉があるのだ、と説く。


 所詮〈見返り〉を期待しがちな凡夫には、利己的な〈うさん臭さ〉が臭う、らしい。


 それでも、老夫婦の我が家では妻を褒めるのが一番!


 平和が何より。


(20220817)

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