第15話 仏壇へ朱塗りのお膳をそなへたり〈浄土三部経〉のCD聞きつつ
「仏壇へ朱塗りのお膳をそなへたり〈浄土三部経〉のCD聞きつつ」―。
お盆仕様の仏壇に向かう。
子どもの頃から毎朝の習慣で、神様仏様へ必ず手を合わせてきた。
…が、特別に信心深い人間だと自慢したいわけでもない。
◇
矢作直樹氏は著書『見守られて生きる』で曰く。
―「誰にでも、いつか必ずやってくる死。/それは恐れおののくものではなく、私たちがこの世界に生まれ出でる直前までいた『場所』に帰るというだけの話です。(中略)人生はたった一度きりであるという考え方も、そろそろやめたほうが良いでしょう。魂という根源的な存在を認めることができれば、すぐに理解いただける真理だと思います」―。
東京大学の救急部教授だった氏の意外な言葉に、胸のつかえがとれた方も多いのではなかろうか。
◇
医者になって間もなく半世紀。
最初は産科医、そのあとは老人医療に携わってきたので「揺り籠から墓場まで」を実践する人生行路であった。
産科医だった頃は〈出生証明書〉を随分と書いたし、老人医療に携わってからは〈死亡診断書〉に「老衰」と書く機会が多い。
大過なく医者人生を過ごせたことを感謝し「取り上げも看取りも遣りし爺医なれば『命の関守石』とも言ふべし」と詠む。
(20220814)
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