魔的ショウ・タイム
佐藤菜のは
魔的ショウ・タイム
美しき人外たちのサーカスが始まる
黄昏時に開かれる極彩色の天幕
めくるめく閃光と
耳をつんざく楽団の音
まずは不死身の道化師の登場
操るは昨日の己の
次に三寸の戦士が鞭を
六尺の鼠に玉乗りをさせる
翼ある獅子は炎の輪を潜り
そのまま客席へ突進
喝采は
失神した者が投光器に照らされる
続いて
舞台袖で寝ていた道化師の頭を貫き
一台の三輪車に乗った十五人の
炎の輪の燃え滓に煽られそのまま土へ還る
幕間には機巧人形たちによる
微かに聞こえる呻き声
ショウは終わらない
ますます盛る紙吹雪
演目の花形は豹女による空中
ひときわ大きな歓声
相棒の蛇男はうわの空
妻の名前が思い出せずぼんやり
尻尾を靡かせ舞う豹女
伸ばした爪は
待ち構える地上の断頭台へ
真っ逆さま
止まない手拍子と口笛
客たちは拳を振りかざす
ここには出口も閉幕時間もない
永劫に続くショウ・タイム
最後は
暗転――
魔的ショウ・タイム 佐藤菜のは @nanoha_
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