第10話

今日は街にまった体育祭だ。

季節は冬ですごく寒い。

周りはみんな長袖だったりするのだが何故か今日に限って忘れてしまった。

お陰で一人だけ半袖半ズボンだ。


「むちゃくちゃ寒い」

「大丈夫か真田」

「うん、青木君は寒くないの?」

「いいや俺は部活でなれてるから」

「それと今日の予定知ってる?」

「そりゃあもちろん」


午前は陸上競技で午後からはまあ色々ある。

説明中に抜け出していたので大体しか知らない。


「それじゃあ始まるし行こうか」

「わかった」


最初は体育祭を盛り上げるために一年生代表と二年生代表と三年生代表がいる。

それぞれの学年から体育の授業で最もサッカーの成績がよかった者が試合に出られる。

そこから12人がそれぞれのクラスで選ばれる。

3年生は決勝に行かないと戦えない。

それでも最後だから全力でやる。

なんでかわからないけどポジションはフォワードだった。

ペアは青木君とだ。

1年生には悪いけど負けないよ。


「さあ行こうか」

「うん」


試合が始まるとすぐにパスを出した。

青木君はサッカー部だったからぐんぐんと人を抜いて行く。

そしてこっちを見ると、まるでこっちにこいと言わんばかりの目をしていた。

僕は一気に駆け巡りゴール前まで行くとパスを貰いシュートをした。


「や、やったぁ!!」


周りのみんなが僕の方に走ってくる。

入った!

あんまりサッカー自体はやったことなかったけどボールがゴールに入る瞬間がとても嬉しかった。

それから1年生が反撃を開始した。

1年生はほとんどがサッカー部だ。


「こっち真田!」


空手部の島田君が僕を呼ぶ。

僕はパスを出す。

それを受け取ると走って行く。


「真田君行くぞ!」

「うん!」


今度は二人で攻めた島田君はワンツーをして軽いフットワークで躱す。

そして僕にパスを出してくる。

目の前には青木君がいて僕はいったん宙に上げパスを出す。

パスを受け取らずそのままシュートをした。

ゴールに入る。


「よっしゃあ!これで2対0だ!」

「先輩達強すぎるすっよ」

「そうか?」

「そうです」


丸刈りの後輩が話しかけてきた。


「あの真田先輩陸上辞めてサッカー部来てくれませんか?」

「え、勧誘?」

「確かにさっきのパスといいシュートといい完璧だったな」

「そんな褒めても何にも出ないよ」


その後も試合は続いて行った。

結局は3対1で僕らが勝った。

次は3年生だった。

引退した先輩たちがわんさかいる。


それから少し休憩してまた試合が始まった。

さっきと同じ構成で前は僕と青木君で守備は島田君たちだった。

いや、本気で走ってみようかな。

陸上の時みたいに。


「自由に」


僕は速攻でドリブルをしてゴール前まで駆け巡る。

そのとき僕の名前を呼ぶ声が聞こえる。


「春君がんばれ!」


僕は走りながら手を振る。

よかった今度は期待に応えられそうだ。

僕はシュートを決めた。

結果は負けた。

5対3だった。

僕はハットトリックを決めた。

けど負けた、応援に応えることができなかった。


「ドンマイドンマイ」


島田君と青木君が慰めてくれた。

なんだか嬉しかった。


「ありがとう」

「うん」


試合には負けたけど友情は深まった気がした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る