第9話

僕はその日から冬木さんと一緒に学校に行くことにした。

集合場所は神社の前にした。

朝はいつもここを集合場所にして、

毎日学校に通った。

今日で3週間目だ。

もうあまり時間が残っていないことを自覚してからか学校ではいつも二人でいることにした。

たまに授業すっぽかしたり、ピアスとかも開けたりしたりした。

それでも体育祭の練習だけはちゃんと参加して、その後はいつも違う場所にデートをした。

商店街とか、ショッピングモール、水族館とか。

まだまだ周り足りない。

二人でいる時間は今まで生きてきた時間の中でも一番輝いていた。


「どうしたの」


今日は学校の帰りで映画を見に来ていた。

恋愛ものですごくいい話だった。

特に主人公とヒロインとのイチャイチャがなぜだか恥ずかしかった。

僕らもこんな風に見られているのだろうかと思った。


「いいや、今日でちょうど3週間目だなと思って」

「そ、そうだね」

「あのこれ」


僕は初めて彼女からプレゼントをもらった。

箱に入っていて中を開けて見ると青い石のペンダントが入っていた。


「あの紗絵さんこれって」

「これはアクアマリンだって」

「なんか商店街でアクセサリー店みたいのを探してたら」


冬木さんは商店街のことを話してくれた。

どうやら僕が前行ったところと同じようなところらしい。

お金はいらないって言われたらしい。

あれ?僕と同じところ行ったのかな。

あのときはたまたまおばあさんだったって言うだけで。


「あ、ありがとう」

「うん」


すごく冬木さんが嬉しそうだった。

そんな彼女の顔を見ていると僕も何故か不思議と笑顔になっていた。

こんな時間がずっと続けばいいと思った。

そう思うと泣きそうになった。

こんな幸せな時間が終わってしまうと思うと、

いやだった、だからもっとたくさん一緒に何か見てたくさん楽しいことがしたいと思った。


「それじゃあ帰ろう」

「うん」


僕はもらったペンダントを首につけてもらった。

初めてのプレゼントがとてもうれしく感じた。

帰る途中にガラスの中が目についた。

ウエディングドレスだった。

僕らがガンでなければこれを着せられていたのかもしれないと思うと申し訳なくなった。


「ねえここ入る?」


彼女は急に聞いてきた。

なぜこの彼女は僕の考えていることがわかるのだろうか。

まあけどそんな気を察してくれるところも好きなんだけどね。


「うん入ろう」


中には黒い制服を着た人たちがいた。


「あの今日予約してました冬木です」

「え?」

「あれ言ってなかったけ」

「いや帰ろうとは聞いてただけで」

「まあいいじゃん、せっかくだし着てみようよ」


そういうことで着てみることにした。

僕は白の基調としたタキシードで、

紗絵さんは綺麗なウエディングドレスだった。

つい、魅入ってしまっていた。


「き、綺麗だよ」

「ありがと」


やめてその綺麗な姿でそんなこと言われたら。

紗絵さんが急接近してくる。


「何顔赤くしてるの?」

「いやその似合い過ぎてて」

「そ、そう」


紗絵さんも顔を赤くしていた。

紗絵さんは顔を手で隠して見えないようにしていた。


「あのすごく似合ってるよ」

「うんありがとう、それと紗絵さんも似合ってるよ」

「うん」


周りのスタッフさんが微笑ましい表情で拍手をしてくれる。


「これ私着てみたかったんだよね」

「うんまさか僕もこれを着る日が来るなんて思ってもいなかったよ」


しばらく二人で感想を言い合いながら楽しく談笑していた。

さてあとはどこに行こうか、それと体育祭も文化祭も頑張らないと。


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