第23話  これが、あたくしの結婚式??

 あっという間に、結婚式の日になりましたわ。

 見合いの日から、ひと月くらい後になりましたけど、あたくしは幸せでした。

 ドレスを作ったり……

 新居に持って行くものをえらんだり……


 アランはまだ、少し学業が残っているそうで、アルテアに帰ってしまいましたわ。

 それから一度も顔を見せません。

 その代わり、毎日のように野花のリスティナと3個のクッキーが午後のお茶の時間に届くようになりましたわ。

 流石にアランはあたくしの事を分かっていますわね。

 花が野の花だという事が気になりましたけど……


 まぁ、良いですわ。

 結婚式にはリリエラの花束とダイヤモンドの付いた金の腕輪を持って来てくれるはずですもの!!

 リリエラは、西域で咲く高価な花のことですわ。


 結婚式は式は冬のさ中でしたけど、アルテアの格式のある小振りな神殿で行われました。

 というのも、アランがどうしても神の御前で結婚の誓いをしたいというロイル様式にこだわったからです。

 あたくしはどうでも良いことなのに、アランがどうしてもと譲らなかったのです。


 両家の親族だけの小規模な結婚式となりましたわ。


 アランの家が、商家になって成功したのは本当でしょうか。


 こんな古めかしい小さな神殿では、あたくしが持って来たドレスが浮いてしまいますわ。

 あたくしは大きなため息をついて、控室でドレスに着替えていました。

 ティアラは王家出身のお母様の物を借りましたわ。

 さあ、アラン!!あたくしの準備はヨロシクてよ。

 サッサと迎えに来なさい。


 その時にドアが開きましたわ。

 アランが入ってきました。

 リリエラではなくリスティナの花束を持って……


「やぁ、遅くなってごめんよ。エドワゥたちと話が弾んでね。豪華なドレスだね。伯爵がまた泣いてるだろうな」


「余計なお世話ですわ。それよりその花は何ですの!?」


「花嫁のブーケだよ。リスティナをこれだけ集めるのは苦労したよ」


 それだけではありませんでしたわ。


「これ、婚礼の腕輪ね」


 ニッコリと笑って、アランがあたくしに差し出したのは、どう見てもリスティナの花輪でしたわ。

 あたくしは、目の前が真っ暗になりました。

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