第10話  お城の舞踏会

 あたくしの住む、ヴィスティンの王都のディナーレは、つい百二十年ほど前まで、ドーリアという古王国の中でも最大な領土を持った国で、それを我が国が攻め入って、王都のアスタナシヤを陥落させて、我が国が遷都したものでした。

 それまでは、大陸のもっと東部に都があったと聞きます。


 新しくディナーレ(心地よい風)の意味を持つ新しい王都は東西に長く、西は海まで繫がっておりましたわ。


 海の領土の欲しかった、王は孤島を1つ領地化したと何かの祝賀会の時に聞きましたわ。


「ジェーン、もっと、締め上げてくれませんと、ミレーユの腰の細さに負けてしまうでしょう!もっとですわ!!」


 あたくしは、珍しくお城から届いた舞踏会の招待状を見つけてしまいましたの。

 ミレーユには、アランがいるから、これは、あたくし宛ですわね!?

 そうですわ、そうですわ。そうに決まってます。


 それから、あたくしは入念に入浴をして、気合タップリにコルセットで締め上げて、

 金糸の刺繍のドレスで決めましたわ。


「エドワゥ……支度は出来ましたか?」


 絵師のエドワゥの支度が遅れてて、イラっとして来た所です。


「僕はお城になんて行ける身分じゃありませんよ!!」


「良いじゃない。今日はあたくしの、付き添いですもの」

「いつも、そうならないじゃないですか!!誰かと消えるくせに……

 お嬢様が消えた後、僕がどんな目に合ってるか知らないでしょう!!」


「知りませんわね~~」


「貴族の奥様の愛玩動物の珍獣でよ!」


「あら、失礼ですわ。アランは、人間ですのに」


 あたくしは少し、アランを同情しました。


「良いですわ。今回は王子妃選びの舞踏会ですもの。どの王子か知りませんけど、あたくしが一人で行きますわ」


 エドワゥは涙を流して喜んでいました。

 そんなに舞踏会が嫌だったのかしら!?


 ともかく、あたくしはエドワゥを置いて行ったことを、激しく後悔するのですけど。

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