記憶と頭を失くした少女が目覚めたのは、巨大なツタ薔薇の這う石造りの地下。
そして同じく頭を失った黒猫と共に、お城の最上階にいるという首刈り女王の元へ奪われた頭と記憶を取り戻しに向かう。
その道中には奇妙で何処か惹かれるステージが待ち受けていて——。
お互いを『ロサ』『ガーネット』と呼び合う少女と黒猫の、淡々としつつもどこか軽妙なやりとり。
頭を取り替えながら知恵を駆使して上の階に進んでゆくという発想や、奇天烈さを含みながらもパッとおとぎ話の一枚絵のような情景が浮かんでくるような世界観……その全てがとても素敵!
美しいのに仄かに薄暗い物語を、その一人と一匹と共に足元を照らしつつ歩んでいるような高揚感と共に楽しんでいました。
ロサは果たして最上階へと辿り着けるのか?
首刈り女王から頭と記憶を取り戻せるのか?
少女から首を奪うと——そこに残るのは、はたまたはじまるのは一体何?
それを見つけられるかどうかは、あなた次第。
頭と記憶を失った少女が、頭のない猫とともに、自分の頭と記憶を取り戻すために城を探索する物語。
「ツクール×カクヨム ゲーム原案小説オーディション2022」に応募されている本作ですが、ゲーム要素が十二分にあり、とても想像が膨らむ物語になっています。
頭を失った少女は、いろんな物を頭に取り付けて先へと進んでいきます。途中、先へ進めず困ったことにもなりますが、頭に取り付けた物の能力を駆使して、問題を解決していく様は見事でした。
薔薇や首刈り女王など、「不思議の国のアリス」をモチーフにしたダークメルヘンな世界観も魅力的です。
はたして少女は、自分の頭と記憶を取り戻すことができるのか……?
ゲームになったらぜひプレイしてみたい、恐ろしくも美しく魅力的な作品です!