第2話 冒険者登録!(フリューエル)

 赤ん坊ですが、早く他のみんなとコンタクトを取りたいものです。

 でも、声が。ろれつが回らないのですよね。

「わたちと、いっちょに生まれてきちゃ、みんなとあいちゃい」

 がんばってこれです。でもシスターは腰を抜かしました。


「ああ、私のこちょを気に病むちん配はありまちぇん。正常でちゅ」

 慌ててやってきた、司祭様に、回らない舌で現状説明した。

「なんと、星の加護があるとは!」

 

 ステータスの確認をする司祭様。

「星神グロリアの加護があります!ステータスはまだ低いですが………」

「他のめんばぁも、鑑定しちぇくれます?一緒に捨てられていちゃ子たちでちゅ」


 他の三名が、運ばれてきました、抱っこで。

 みんな可愛いですねーv特にヴェルが。目つきの悪さが可愛いです。

 恋人(夫婦)補正?もちろん入っていますよ。


「星神様に神託を請いました。全員レベルを100まで上げられる要員だそうです!」

「まあっ、では全力で協力をしないと!」

「最大で40レベルの講師が呼べます!」


 雷鳴が不思議そうに問いかけます。

「思ってちゃんだけどちゃ、100レベルに至れにゃい人もいりゅわけ?」

「勿論ですとも。レベル100は特別なのです」


「でもご安心ください、レベル40の講師を呼びますので!十分冒険者になれると思います!レベル100素養のある第三期ですね!」

「しゃん期………しゃきに、行ったひちょがいるのでしゅか?」

「はい。100レベルに達せるは、時々いるので………」


「そうなんでちゅね、少し安心でちゅ」

 しかし、レイズエル様の見立てとちょっと違いますね。

 5世代経っても100レベルには辿り着かないとか言っていませんでしたか?

 その辺のことを司祭様に聞くと、

「100レベルになるには試練が必要なんです。それでほぼ弾かれるんですよ」

 との事。勇者パーティも100レベルは勇者だけだったそうです。

「その他に、普通に依頼で死んだりもしますから」


なるほど。そうだったのですね。では当面私たちは………

「いまかりゃ修行したいので、わたちには魔術の指南ちょを下さい」

「俺もー」「あっ………僕もでちゅ」「俺も」

 全員魔法の指南書を欲しがりました。

 だって現状、それしかやる事がありませんからねえ。


 歩行できるようになった頃、雷鳴君に全員が集められ、渡された物があります。

 コンタクトレンズと扇子です「これは何に使うのですか?」


「コンタクトは「破壊の蛇」が視認できるように。

 扇子は顕現してない「蛇」なら、倒せはしないけど、来た次元に吹き飛ばせる。

 それで「沢山憑いてる=悪人」じゃない方が多い。むしろ被害者だと思う」


「むしろ操ろうとして、被害者に憑いたり

 こっちに悪意を向けさせるために憑いたりするんだ。気を付けて」


「分かりました。この神殿は、一時しのぎでも「蛇」を綺麗にして出ましょうね」


 ♦♦♦


 全員が、成人しました。16歳です。

 外見年齢がそれより年上だった人は、16の年齢で止まったようですね。

 雷鳴君以外全員が若返りました。


 ここの文明は、産業革命時代といったところでしょうか。

 街灯が全て電気式になっているぐらいの文明です。

 当然、車もある訳で………。

 雷鳴君の喜ぶ事、喜ぶ事。


 私たちの「足」として、「ワーゲンバス」を改造しています。

 いわゆるキャンピングカーに改造ですね。

 他の冒険者や貴族の目に止まっても、害は無さそうなので放置。

 懐かしいともいいますね。


「ライノは今頃どうしているのでしょうか?」

「今回は文明レベル的に持ってこられないけど、ちゃんと保管してるよ」

 と言われました。このバスでもこの文明では新しい技術扱いでは?


「そうだ!こいつにもみんなで名前を付けよう!」

 赤いワーゲンバスです。

 正面のペイントはユニークなので変えたくありません………

「「サラマンダー」とかどうですか?火トカゲです。この車はかわいいので」

「あっ、いいですね」「いいんじゃないか」決定ですね。

「じゃあ、こいつの車体には、炎をイメージしたエアブラシアートを施しておくよ」


 「サラマンダー」の中は、2段ベッドが2つ壁に格納でき、ベッドを出さない時は4人が座れる小さなダイニングになります。

 それとミニキッチンもありますね。冷蔵庫も。

 衛生面は魔法で何とかしろという事でしょう。

 ちなみに雷鳴はアートの素養もあるのか、炎をペイントしていました。


 神殿の人達―――お世話になりました―――に見送られ、冒険都市リッケルトへ。

 

 レベルが半分になっても、リッケルトは賑わっていました。

 何故ならレベルが半分になったのは、戦闘に関わるものだけだからです。

 ですので、商人たちには関係ないのでしょう。

 それにしても凄い規模の市ですね………

 これでも冒険者が去って、少し縮小しているとか。

 

 感心していたら、商人たちが「サラマンダー」に群がって来ました。

「これは何だ?」

「車だよ!俺が作ったんだ!」

「どうやって運転する?………おお、簡単だな」

「もっと作れないか?これだけか?」

「作れるよ!他の車もベースになる車のカタログがあるから選んで!」


「それと運転は俺の所に習いに来る事!

 車はもちろん有料だよ!あと乗り方をマスターした人でないと売らないよ!」

 雷鳴は契約を結んでいます、悪魔との契約はお勧めしませんが………

 まあこれなら大丈夫でしょう。


 商人たちはこぞって雷鳴と契約を結んでいきます。

 内容は、製造は全て雷鳴が行う。従来の車は下取りする。

 操縦方法は代表者に教えるから、その後はその人から習う。

 

 やれやれ、悪魔との契約はお勧めしないのですが………。


 そういえば、今回も雷鳴とは誓約を交わしましたが。

 誓約にこれは抵触しませんね。

  今回の契約の内容は抵触しませんね。

 『お互いに危害を加えない』『任務に協力し合う』『得た情報は共有する』です。


 その後石造りの―――1階が大きな作業場が置けそうな広い家―――。

 に、商人の一人に促されて到着しました。

 雷鳴が商人と交渉して、借り受けた拠点です。

 2階部分が4人分の部屋と、最奥にみんなで集まれる居間があります。

 家具とかも備え付けの物がありますし、後は好みで改装すればいいでしょう。

 雷鳴は、修理・改造のできる大きな作業場(資材もある)を1階に展開。


 登録しておけば、何度でも何個でも取り出せる無限の『箱』

 それをスターマインドに頼んで「ギフト」として貰っていましたからね。

 嬉しそうです。以前の「ライノ」といい、車いじりが好きなんですね。

 まだここの車文明は、馬車に毛が生えた物ですので、喜ばれるでしょうね。


♦♦♦


 ちなみに私たちのレベルは50です。

 異例の速さだそうですが、私達にしてみれば意外な事でもありません。

 さあ、冒険者登録に行きましょう。


 冒険者登録は、魔道具で測定して、レベルの高さに驚かれました。

 ですが、すぐ冒険者カードに登録してもらえました。

 ちなみにこの冒険者カード、何の利点があるかと言うと。

 身分証はもちろんですね。

 ですが、他の冒険者を殺すと、赤く光るのだそうです。

 無くしたと偽って、新しくしても光るそうです。

 その上カードは燃えませんし、オリハルコンなので壊れません。

 捨てても戻っているくるそうです。

 ………ほとんど呪いですね。


「なあ、フリウ?」

「どうしましたか、雷鳴君?」

「今回の仕事の事。記念品が欲しいなーって。滅多にないだろ、こういう事」

「それは、天使と悪魔ですから当然ですね。仲良くなる事自体稀ですし………」 「だろ?だから、長く使える実用品で、記念品を持ちたいんだ」


 ふむ、悪い提案ではありませんね。

「でしたら、時計………懐中時計とかどうですか?」

 ミシェルが声をかけてきます。

「バーティを時間通りに行動させる役目も期待できますし」

 腕時計ではすぐ壊れてしまいそうですし。

 

「懐中時計でいいのではないか?」

 ヴェルは興味なさそうに見えて、実は乗り気です。夫婦生活で見分けがつくよう  になりました。ミシェルは目をキラキラさせていますね。


「よし!じゃあ錬金魔法で金を作るぞ!」

 雷鳴君は、密かに復活させていた錬金魔法で金を作ります………。

 全員が、魔法を復活させるのに熱心だったわけではありませんしね。


 ヴェルと私は身体能力、ミシェルは魔法を復活させるのに腐心していました。

 雷鳴君は『教え』―――ヴァンパイアの特殊能力―――がありますし。

 錬金魔法を密かに復活させていたのでしょう。


「じゃあ、「金の神市」に行こう」

「リッケルトの名物ですね。終わらない、何でも手に入る市だとか」

「そこで換金もしてくれるんですか?」

「ミシェル、当たり。入口と出口付近に交換所があるんだって」


「パーティ財産にしていいのか?」久しぶりにヴェルが口を開きましたね。

 こういう事は確認しておかないといといけないのでしょう。

「もちろん!外ではみんな使える術だしな」

 そして換金。3つのインゴットで、金貨3000枚になりました。

 

「ウフフ………市の案内屋はいりませんか?」

 露出度の高い、肉感的な美女が近づいて来ます。

 すぐにピンときました。彼女は精霊ですね。多分お金の………。

 断ったらややこしい事になりそうです。


(どうするんですか、先輩)

(案内を受けるしかないでしょう。雷鳴とヴェルもそれでいいですね?)

(仕方ないな)(ああ、断る方が面倒だ)


「じゃあ、換金のあと、質のいい懐中時計を探してるんだけど。できたら同じデザインか、シリーズになってる意匠のやつがいい!案内してくれる?」

「もちろんです!あ、私レニーと申します!」

「うん、よろしくレニー」

 何と言うか、雷鳴君の精霊に対する態度は、実に自然ですね。

 精霊と相性がいいのでしょう。


 どんなものを望んでいるか説明しましたが案内された店は「マニー商会」でした。

 「市ではないのですか?」

 品質が保証されたものを手に入れるには、こちらの方がいいのだとか。

 全国展開の、総合商会が出している店だそうで。


「ここでもいいよ。みんなとお揃いになるようなのが欲しいんだ。

 で、蓋に共通の意匠が施されているものでお願いしたい」


「綺麗で個性もあるものと言うと、花ですね………」

 ミシェルが手元の懐中時計を見つめています

 そう提案すると、みんなに意義はありませんでした

 私は、恐れ多い事に百合を皆にプッシュされたのですが………

 わたしはそんな清純な花を受け散る資格はありませんと固辞。

 それなら蘭を、と勧められました。

 それでも気恥ずかしいですが、まあいいでしょう。


 とういうわけで、プラチナの蓋に花が彫刻されているシリーズをチョイス。

 私は、蘭。

 ヴェルは、カラー。

 雷鳴は、薔薇。

 ミシェルは、桔梗。

 をそれぞれ手にします。花言葉は考えに入れていません。


「これでこれから、規律正しい生活ができますね」

「先輩、目覚まし時計も必要では?」

「確かにそうです。みんなで目覚まし時計も買いましょう」

 雷鳴君が嬉しそうにしています。

 私達との仲間意識が強いようで………実は私も嬉しいです。

 天界に来て欲しいぐらいなのですが、いつも血を飲んでいる以上不可能ですね。


「レニーさん、拠点の内装を整えたいのですが」

「なら、明日市を案内させてもらいます」


「車に関しての取引権は、実はマニー商会が他の商人から買い上げています。

 マニー商会がまとめて権利を持っていますわ。

 そうそう、あなたがたの拠点も、実の所マニー商会が用意しましたの。

 ですから後日ご挨拶に行くかと思います」


 なるほど、スポンサーが一本化したのですね。

 雷鳴は面白そうにしています。

 他の三人も異論はなさそうです。

 (ヴェルは分からないので、私に丸投げしていますね)受け入れましょう。


「なるほど、じゃあ、車カタログの完全版を渡しておく」

 受付のお姉さんに、カタログを渡しています。

「改造は、冒険に出てない時に依頼して」

「冒険者より、車で儲けられるのでは?」


「いや、あくまでも目的は100レベルになる事だから」

「勇者様を目指すのですね?」

「まあね………(魔王でなくて、多分でかい「破壊の蛇」の討伐戦だろうけど)」


 それでは、もう遅いので今日はもう寝ましょう。

 拠点に帰って寝ます。

 おやすみなさい………

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