プロローグ

第1話 再会(全員)

~語り手・フリューエル~

 

 ガイアを何とか救ってから、彼ら的には40万年。

 だが星々の核「スターマインド」の中では、もう知らぬものは無い。

 そして一つの星が、彼らを救い主に選んだ。


 ♦♦♦


 私の名は「フリューエル(身内はフリウと呼ぶ)」天使です。

 もっと言えば、「外勤」の「ソルジャー」です。


 天使には「内勤」(天界内での生活のサポートや、外勤のサポートに従事する)

 それと「外勤」(天界の外に出て行って、悪魔その他の悪事を止める)がある。


「内勤」とは?


 最も一般的かつ数か多いのがエンジェルです。縁の下の力持ちですね。

 天界での生活をサポートしてくれます。用立てて貰いたいものは、彼らに頼むと大抵のものが手に入ります。ありがたいことです。


 座天使ソロネ

 機械を作ったりメンテをする。主に兵器やソルジャーのサポートをしています。


 智天使ケルビムはソロネの魔法版。魔法薬などはここで作ります。


 熾天使セラフィムは天帝陛下の親衛隊、近衛騎士である。勿論エリートだ。


 その他に地・水・火・風と部署があり、天界内部の暮らしを助けてくれています。


 地天使は、「天魔境界線」の砦に詰め、時々やって来る悪魔に対処しています。

 実は結構忙しい部署です。


 水天使は、人界(この場合ラータルカ)の雨の制御と、天界の雨の制御を行います。

 病院はここが運営しています。医者は智天使です。


 火天使はセラフィムを手伝う下級天使です。


 風天使は天界の情報局。

 伝令は全て彼らが。

 「ソルジャー」と「ウォッチャー」とは協力関係ですね。


 ♦♦♦


 外勤は、まず私が所属する「ソルジャー」

 武力が必要な時―――例えば人界での悪魔討伐。

 それや、潜入が命がけの時に、ウォッチャーから引き継ぎ対処する事が仕事です。

 殉職率の高い職場ですね。


 ついで―――ブラック企業と囁かれている―――「ウォッチャー」

 人が足りないので、いつもギリギリの運用をされている。

 悪魔の悪事(違う事もあるが)を発見、潜入したり。

 あと、ソルジャーのサポートをしてくれます。

 悪魔からは「ストーカー」と嬉しくない呼ばれ方をしているとか。無視です無視。


「ガーディアン」は心根の(魂の)美しいものを守護する役目を負います。


 最後に「セントクレスト(内部監査)」ですね。

 任務から天使が帰ってきたら、けがれ落とし(大きな聖水のプールに放りこまれます、けがれがついていたら、物凄く痛いです(経験済み))

 そして任務の詳細を報告させる仕事です。

 記憶球(改ざんされてないか徹底的に精査されます)と口頭での供述を、心の中で思ったことまで全部さらけ出さないといけません。

 口に出しにくい一幕(人間や仲間との情事とか)もその時思った事まで。

 ええもう全部です!

 もし、堕天の兆候が見られた場合、拘束。堕天した瞬間に切り捨てられます。


 ♦♦♦


 さて、仕事が終わった私は休憩に入るところでした。

 ですがセルート様(ソルジャーの天使長)に声をかけられます。

 なんと、私が天帝陛下に呼ばれているとの事。詳細は聞いてないそうです。

 私の部下であり、夫であるヴェルミリオンも一緒に連れて行く様に言われました。


 机に突っ伏して寝ていた(休憩時間なのです)ヴェルミリオン(親しいものはヴェルと呼びます)の肩をゆすります。

 

 ちなみに、私の容姿は銀髪のショートヘアーに銀色の瞳、170cmぐらいの身長   で、瘦せ型です。背中には、3対の白い翼(消しておくことも可能ですが制限空間の 種類によっては、スターマインドに強制的に消されてしまうことも。天界にいる間は無用の心配ですが)があります。


 彼―――突っ伏して寝ているヴェルミリオンはというと。

 筋骨隆々、赤髪のロング(うしろでくくってる)で、目つきの鋭い男性。

 整った容貌です


 彼は以前従事した任務で、私と恋仲になった悪魔でした。

 それが、私との恋路の為に10000年も煉獄での獄門浄化を乗り越え―――。

 めでたく天使となり、私にプロポーズしてくれたのです!

 あれほど嬉しい事はありませんでした。

 今も私は彼の顔を見ると、その時の嬉しさが蘇って来ます。


 それは置いといて。

 仕方ないので叩き起こし、不満そうな顔をするのに事情を説明します。

「しょうがないな………」

 ヴェルは今でも天帝陛下を敬ってない節がありますね。

 まあ、戦争や祝い事でもなければ滅多に会えませんしね。仕方がありません。


 ともあれ「急ぎますよ」と耳を引っ張っていきます。

 飛んでいると、同じルートでミシェルが飛んでいます。

 声をかけると嬉しそうに寄ってきました。

「何だか久しぶりですね。ああ、無事職務に着けて良かったですね。

 ガーディアンでしたか?」

「はい!あの時の経験を生かして頑張っています!」


 私たちは天宮に着くと、ボディチェックを受けて、3人同時に通されます。


「やあ、よく来たね」

 陛下は微笑んで迎えて下さいました。ただし尋常でない量の書類の隙間から。

 3人共ひざまずき「「「ありがとうございます」」」」と述べます。


「3人に普通の人間の寿命程度の期間になる、と思われる任務についてもらいたい」


「ああ、顔を上げて。書類を崩さなければどこに座ってもいいよ」

 それはかなり高難易度のミッションです、陛下。

 みんな立ち上がっただけで座らず終わりました。

 どこに触っても崩れて来そうだったからです。


「最初に言っとくと、後で時間は元に戻せるからね。で、頼みたいことがあるんだ」

「はい」

「惑星グロリアのスターマインドからSOSが来たんだよ。レイズエル殿経由でね」

既視感デジャヴがあるのは気のせいでしょうか、陛下」

「まあー、討伐任務なのは一緒かなー」


「惑星グロリアでは、ずっと魔王に悩まされていたんだけど。

 それが勇者に討伐されたんだ。ただその魔王が悪あがきをしたらしくて………

 星を崇める神殿と、星の巫女を魔族化、神殿を汚染してしまったんだ。

 でも頼みの勇者一行は魔王との戦闘で死んでしまっている。

 それに、一部のダンジョンと、モンスターも汚染されてしまった」


「その上魔王は、惑星全ての知性あるものに呪いをかけた。

 惑星グロリア固有の数値なんだが「レベル」が永遠に半分に下がる呪いだ。

 その神殿にはレベルが「100」でないと入れない。

 なのに冒険者たちはみんなレベル50以下。ほとんどが引退したらしい。

 だからこれから生まれてくる者たちに期待をかけたんだが―――」

 

「このままでは核が汚染されるまでにレベル100は出てこない。

 それがレイズエル殿の判断だった。星にもその警告をしたそうだよ。

 神殿は惑星グロリアの核。核が汚染されきったら、この星は滅ぶ。

 自分が作った決まりで自分の首を絞めてる訳だけど………解除はできないらしい」


「それでね、惑星グロリアは本来外部の者を一切受け入れないが、特殊な処置で受け入れるから助けて欲しいと言っている」

「特殊な処置、とは?」

「惑星グロリアの転生の輪に外部の者を乗せて転生―――無理やり自分の民にする方法だ。要は赤ちゃんからやり直して欲しいと」

「それ、時間は大丈夫なんでしょうか?」


「レイズエル殿が言うには、星の感覚で「時間がない」だから。

 私が見る限り人間5世代ぐらい経過しても大丈夫、呑気にやっておいでって。

 後で時戻りで明日ぐらいに帰してあげるから………だそうだよ。

 まあ、人(星?)助けはいい事だし………行っておいで?」


「レイズエル様が、惑星グロリアを助ける理由は何ですか?」

「何でも「助けて」と言ってくる人を助けないのは、自分の父親が作った戒律に、違反するからだそうだ。対価はちゃんともらったとも言っていたけど」

「………それだけで動くのですか?」


「う~ん。まあ言ってもいいか。背後に「破壊の蛇」がいるそうなんだよ。今回は星の壊滅をもくろんでるようだね。魔王の悪あがきに力を貸したらしいよ」


 破壊の蛇、とは

 唐突ですが、この世界(宇宙)はマザー世界と呼ばれています。

 階層型の世界であり、今いる場所は第二階層。浅層に位置しています。

 星に意思があるように、宇宙にも意志があります。

 それが「グランドマザー」ですが、弱っており(年齢による弱体化)

 代替わりが必要です。

 「グランドマザー」の体であるこの宇宙にも、弱っている弊害が出ているのです。


 つまりは、体が弱って、色々な機能が暴走しているのです。老化現象ですね。

 本来、秩序と無秩序のバランスをとる役目だった「蛇」も暴走しました。

 秩序を捻じ曲げ、無秩序(自然)は削除するようになったのです。

 理を捻じ曲げ破壊する、それが「破壊の蛇」


 それが裏で動いているなら、確かに見過ごすべきではありませんね。


「あとは、魔界から、雷鳴君が参加するから」

「リリジェンがいない以外、同窓会ですね」

「ま、まあ、そうだね。あとは「亜空間収納」は転生後も使えるから、使いなさい」

「「「了解しました」」」


♦♦♦


~語り手・雷鳴~


魔界。俺は姉ちゃんに呼び出されていた。

姉ちゃんは超越者オーバーロードであり、魔界の第四王子の妻でもある。

呼び出された先は、俺が育った「レイズエルの家」


 異空間の1階―――図書館に入ると、姉ちゃんに

「喜びなさい、以前のパーティメンバーと再会よ」

 と言われた。もしかして?

「以前のパーティというと………フリウとヴェルミリオンとミシェル?リリ姉は?」

「リリジェンは天帝陛下の承諾が得られなかったけど………それ以外は再会よ」


「で、今回は転生してもらうわ。ひたすらレベル100を目指して冒険なんだけど」

「どこに転生するの?」

「惑星グロリアの、冒険引退した人たちの作った星神信仰の神殿よ。

 技術や知識だけでは大したものだしね。

 惑星グロリアの神殿を解放してもらえれば、返り咲きができる。

 彼らも必死なのよ………」


「頑張りなさいね。これが惑星グロリアの情報。行ってらっしゃい」

 情報を呼んだ俺は、普通に「冒険」できそうだと喜ぶのだった。


♦♦♦


「さほど間を間をおかずに再会ですね」

「そうだなぁ、20万年程ぶりか。」

「レイズエル様が考慮して下さったのでしょうね」


 全員が揃ったところで、再会の挨拶としてみんなにハグをする。

「結婚!おめでとう!」

 テレるフリウとヴェル。そう、天使になり結婚したんだよな。

 本当は、即座に殺すのが魔界の常識だが………常識は無視ることにする。

「俺の所まで届く情報だったぞ!良かったな!」

「照れますね………魔界の噂になっているなんて」

「昇天して、しかもフリウと結婚だろ。かなりヴェルに対する殺意の高い噂だぞ」


 そんな風に再開を喜びながら、惑星グロリアの意思が住まう宮殿に出た。 


「皆さん、事情は聴いてくれていると思うのですが

 了承していただけて、ほっとしています」

 銀髪の、神官風の服を着た女性が言葉をかけてくる。

 これが星神グロリアの化身、話は聞くべきだろう。


「………転生先のルールを説明させていただきます」

 

~語り手・ミシェル~


転生先は、魔法が不自由です。レベルに合わせて解放されているとか。

身体能力はいまのままでいいそうです、ほっ。

雷鳴の特殊能力である『教え』は受け入れるとの事。

超能力も使えるという事です。

その上「ギフト」を授けて下さるそうですが………


A~Dがあります。普通はC,稀にBだそうですが、お礼という事らしいです。


選ぶのに1日はかかりますね、このカタログ。

全員カタログをもって、一日かけてう~んと唸ります。

決まりました!


フリューエル様は

A:あらゆる魔法の超才能

B:魔力消費0

C:詠唱破棄可能


俺は

A:剣技の天才

B:超怪力

C:防御の達人


雷鳴は

A:無限収納庫

B:昼夜逆転

C:太陽光の克服


ヴェルミリオンは

A:格闘技の天才

B:物理攻撃無効

C:攻撃力2倍


これは、特殊能力として、他の星でも使えるそうです。ボーナスですね。


~語り手・ヴェルミリオン~


何だか分からないが、能力が増えた、まあいい事だ。

それで俺たちは、引退冒険者の作った神殿に捨て子として入り込む。

ちょっと無理があるかもしれないが。

でも、そこから冒険者になるのは、割と自然な事だそうだ。


ここで冒険者とやらになり、レベル100を目指すのだな。

未知の戦い方を教授してもらえるのだろうか?


ともあれ、前回のパーティが結成されるのは、懐かしくていい事だ。

約一名欠けているが。


きっと今回の冒険?も良いものになるに違いない。

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