第6話 適正検査


 エルフが案内した宵の口…桜座。

 この場は周りを桜に囲まれており、その桜一本一本が巨樹と呼ばれるような大きさであった。その光景は絶景と呼ばれるであろう。エルフからの案内で中に入ろうとする。

 しかし、こうじは見えない壁によって進めなくなっていた。


「入れない?」


エルフが呟く。

それから少し考えると、


「適正は?」


と聞かれた。

 こうじは「???」となりながら


「何だそれ?」


エルフの問に問で返した。

 エルフは、またも少し考え、


「適正がわからないと入れないから、検査しないといけないのかぁ〜」


 だるそうにエルフがいう。

 しかし、こうじは分からない。エルフに聞こうと、口を開きかけたがその前に一言言われた。


「おい!検査するからこい」


と言われた。

 こうじはさっきエルフとの問いかけを思い出し、聞くことを忘れた。


少し経ちこうじ達の姿は山にあった。

 

 そこで行われているのは適正の検査だ。


「この山から桜座に体を向け、目を瞑り、30秒まて。それで適正がわかる」


とエルフが言う。

 こうじは言われたことに疑問を抱きつつ、貧乏揺すりをするエルフに聞くことができず、言われた通りにした。

 すると…。

 周りの音が消えた。

 ビックリして目を開けようとするが目が開かない。目、だけではなく体が動かなくなった。体の硬直化。これについてこうじは知っているどころか経験させられた。

 そう、あの男だ。どうしても動かない体。こうじは経験したが慣れることはない硬直化に、(どうにかなれ!)と諦めた。

 周りの音が聞こえなくなっておよそ30秒後に体が動くようになった。

 こうじは動くと分かり、すぐに目を開けた。

 その時、こうじは混乱した。


 「なんだ、ここは?」


 こうじの目に写った光景。それは、


 「砂漠?」


 そう、砂漠のような砂に、地平線。砂漠だと思うのは不自然ではない。だが、さっきまで、緑豊かだった場所が、こうも変わってしまうのだろうか…。

 少しの間こうじは考えていた。

 すると、


「おい!!!」


という言葉とともに「バシィィィン」という音が聞こえ、


「!!!!??」


こうじは頬が急に痛くなった。

 こうじが痛みに悶えていると、次は「グッチャ」という音が聞こえた。


「ああぁぁぁ 〜〜」


 痛む箇所が次から次へと増えていく。

 こうじは、この痛みから逃げるべく起き上がった。


「ゴツン!!!」


 次の衝撃は凄い。こうじは声にならない叫び、いや、絶叫の中、殴ってきた奴を見ようとした。

 しかし、さっきの砂漠のような景色ではなくなった。エルフが目の前で倒れているが…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

美しさを求め @gnbr

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ