第4話 DT捨てる!

 いきなり妊娠させるのもまずいかと思い、俺はあえて種馬ジョブは使わずにメイデと初夜を共にした。


 それでも、メイデが与えてくれる快楽は無類で、俺は一晩中止まれなかった。

 メイデも、最初の印象が吹き飛んでしまうくらい満足してくれて、俺らは互いに意識が前後不覚になるまで互いを愛し合い、外が白み始めても止まれず、意識を失った時は太陽が真上に来ていたように思う。


 

   ◆



 昼過ぎ、寝室で目を覚ました俺は、まず【魔術師ジョブ】で覚えた回復魔法で全裸のメイデの体力を回復させた。


 メイデのみずみずしい肌は白くなめらかで、産毛すら生えていない皮膚は触れると吸い付くようでありながら、まるで摩擦を感じない程にすべりが良い。


 ウエストや首筋、腕は細く華奢なのに、胸とお尻は豊満で、特に胸はスイカを横に二つ並べた印象だ。


 おまけに指で突けば爪の先がどこまでも沈むぐらい柔らかいのに、同時に内側から絶妙な低反発力で押し返してきて、えも言われぬ快楽を伝えてくれる。


 その弾力たるや、仰向けに眠っていてなお、重力に負けずドーム状をキープするほどだ。


 ――改めて見ても、すごいカラダだな。でも、このカラダを俺は、好き放題にしていたんだよな?


 そう考えるだけで、種馬ジョブも使わずに素のまま酷使した下半身がうずきかけた。


 昨日までは淫らな行為に抵抗と罪悪感があったのに、今では恥ずかしい程の貪欲さが下半身の奥に宿っていた。


 それで、自分も所詮は男だと思い知らされた。

メイデが目を覚ましたのは、ちょうどその時だった。


「……あ、ダーリン起きてたんだ」

「ダーリン?」


 突然の恋人発言に、胸がトキメいてしまった。

 メイデは上半身を起こしながら前かがみになって、上目遣いに俺を見上げてくる。


「うん、だってキミ、ボクのこと好きなんでしょ? ヴァンパイアたちの恋愛小説で読んだよ。両想いの男女は、男の人のことをダーリンて呼ぶんでしょ?」


 いたずらっぽく笑いながら、メイデは俺の肩に甘えてきた。

 必然、彼女の裸の爆乳が二の腕に押し当てられて、酷使され続けた俺の下半身は完全に復活した。


「わ……すごい……ママたちの話だと男の人って媚薬使わないと連続10回も無理って聞いていたのに、ダーリンてばあれだけやってまだできるんだ」

「いや、これは違、メイデが凄すぎるからで」


 まるで言い訳になっていない俺の言い訳に、メイデはますます気を良くした。


「ボクのカラダ、そんなに気に入ってくれたんだ。じゃあ、続きしちゃう?」


 小悪魔的な笑みで甘えてくるメイデの甘い誘惑を両手で押しのけて、俺は魔術を使った。


「待て、いま俺臭いから」


 流石に、一晩以上愛し合った代償は大きく、俺は汗まみれだ。彼女も、俺の体液で良くも悪くも卑猥な状態になっている。


「えーっと、炎魔術と水魔術を合わせてお湯を作ってと」


 【魔術師ジョブ】の力で空間に大量のお湯を生成すると、高速で流動させながら、俺とメイデの首から下を包み込む。

 まるで川の中に佇むように、熱く激しいお湯の流れが、俺らの汚れを洗い流してくれる。


「すごい、ダーリンてばこんなこともできちゃうんだ。こんなの初めて、これすっごくきもちいよ。ずっと続けて欲しいかも」


 声と一緒にスイカ大のおっぱいを弾ませながら、メイデははしゃいだ。


 ――ッッ、おっぱいを水流の中にさらすと凄いことになるな。


「じゃあ顔と頭も洗うからちょっと息止めろ」

「うん」


 お湯の量を増やして互いの体をすっぽりと沈めた。

 すると、メイデの紫色の髪は水中をただよい、その中央に浮かぶ美貌の彼女は、とても神秘的な美しさに包まれていた。

 水中の中で見つめ合っていると、不意にメイデがこの状況を楽しむように、無邪気な笑みを見せてくれた。


「……」


 俺は、ゴルゴン族の繁殖役として、多くの女性と関係を持つつもりだ。だけどこの時、メイデとだけは、繁殖とは関係なく、愛し合うような関係になりたいと思えた。



   ◆


 魔術で体を洗いさっぱりしてから、俺とメイデはみんなの待つ謁見の間を訪れた。

 上機嫌なメイデに、集まった女性たちは色々と色めき立っていた。なんか恥ずかしい。

 玉座に座るステンノも、母親としてどこか満足げだった。


「おはようございます、ステンノ様」

「うむ、昨晩は励んだようだな。良いことだ」


 俺はメイデと二人で玉座の前に立つと、みんなへ語り掛けるよう、声を少し大きくした。


「ではステンノ様、早速ですがお伝えしたいことがあります。俺の、ジョブについて」

「貴公のジョブ?」


「はい。まず、俺のジョブはガチャマスター。ランダムで新しいジョブを手に入れることで、発動可能回数は、一分に一回増えます。日付が変わるとボーナスで60回増えるので、一日1500回ですね」


「なら10日で15000か……ジョブとは、そんなに多くの種類があるのか?」

「いや、既に持っているジョブが出ることもあるんです。なので俺はあらゆるジョブを数千個ずつ持っているんですが」


 俺は、今まで前の大陸で誰にも言わなかった秘密を明かした。


「ダブったジョブは、他人に譲渡できるんです」



   ◆



 その頃、レイトが前にいた国では、王女が父である国王と二人でため息をついていた。


「まったく、昨日の地震には驚きましたね」

「うむ。だが被災地には騎士団を派遣したし、もう安心だろう」


 昨日、レイトを追い出した数時間後、大陸全土を巨大な地震が襲っていた。

 そのせいで国民の多くが被害を受けたが、この親子は呑気にお茶を飲んでいる。

 とは言っても、それはどこの国の王族たちも同じだった。

 そこへ、突然大臣が飛び込んできた。


「大変です陛下!」

「ゴホゴホッ、なんだ騒々しい。災害対策なら任せると言ったはずだぞ」


 むせこみながら国王が鬱陶しそうに眉をひそめる一方で、大臣は青ざめたかおでまくしたてた。


「そうではありません! 海岸線で大規模な地盤沈下が起こっております!」

「地盤沈下? ほう、それで海岸線が変わったと? では地図の書き直しを命ずる。それで、どこが沈んだんだ。まさか、リゾート地ではないだろうな?」

「え~、それは困るわぁ」


 未だ緊張感のない王と王女に、大臣は泣きそうな顔で声を荒らげた。


「全海岸線が時速数百メートルの速さで沈下し続けています! 今もです!」

「「は?」」

「すでに海岸線は10キロメートルも後退しています! このままでは、我が国を含め、大陸全土の海に面した国は消滅します!」


 数秒遅れて、ようやくクズ親子は事態を飲み込み叫んだ。


「「えぇええええええええええええええええええ!?」」


 しかし、これはほんの序章。

 大陸は今、沈没の時を迎えた。


 そう、終わりが始まるのだ。


一部完

需要がたくさんあったら本格投稿したいです。

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暗黒大陸に追放されたら前いた大陸が沈没し始めたけどもう知らん 鏡銀鉢 @kagamiginpachi

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