第126話 商売繁盛
「よーしよしよし……騎士さんとかギルドの
『グルォ~ウ……』
その体を海に浸していた
『ヴォウォ~……』
「うん。陸路はすっかり魔獣でなくなったし、これで海路のほうもちょっとは安全になったね! ポチもプチもよく頑張った! 後でエサ美味しいやつ用意するからね」
振り寄ってきた二匹の頬を撫でると、喉を鳴らす甘えた鳴き声が辺りに響く。
「うん。でもお前たちも感じた?
『グルルゥ~……』
『ヴォオォ~……』
トキネの言葉に軽く頷く二匹。
さらにトキネは去っていく船に視線を向けながら、
「たぶんこっちのことも探ったっぽいけど、悪意がないことも分かってくれてるみたいかな? セキ兄が乗ってたら気が付いてくれそうだけど……ハープとランパーブどっちを拠点にするんだろ? セキ兄は魔力発してないからお前たちみたいに匂い覚えないと分からないからな~……」
『グル~?』
『ヴォウ~?』
「――ん? んと~都合が付けば、鍛冶街に仲間の
トキネの声にやや俯くように顔を下げるポチとプチ。
「――ってそんなに落ち込まなくてもすぐ会えるよ~。
巨躯を縮こめながら気落ちする姿にトキネが慰めの声をかける。
二匹がその顔を上げるとトキネが背中へと飛び乗った。
「――さっ! これで周辺の魔獣もすっかり掃除できたはず! これから
トキネの言葉に同意の鳴き声をあげ、二匹と
◇◆
あの攻撃の出所が不明な以上、より強力な魔獣の出現を見越していたが――
「あの群れも自然と引いていったね……わたしでも感じるほど強烈な
握りしめていた
「ええ……。魔力に飲み込まれたと錯覚するほどの濃度でした……ですが、あの瞬間のみで今はもう怖いくらいに穏やかですね」
額に吹き出した驚愕の証を袖で拭いつつも、視線をエステル同様に
『チッピ~! チピピッ!』
「どうしたのチピ? さっきまで沈み気味だったのに元気になっちゃって。あんな魔力の圧を感じたらいつも真っ先に逃げてるはずなのに」
エディットの肩で囀り始めたチピに横目で問いかけるエディット。
喜んでいるかのように羽先を
「でもとりあえず一安心だし、わたしたちも邪魔にならないように船室に戻っておこうか!」
「そうですね。ここを超えればランパーブまではそう時間はかからないはずなので。降りる準備をしておいたほうがよさそうです」
「はいっ! そうしましょう! チピもいつまでも騒いでたらダメでしょっ。もう部屋に戻るからね」
『チピピッ!』
エステルを筆頭に船室へと戻る中、チピは最後に
それは視線の先―― 海岸から立ち去っていった者たちとの別れを名残惜しむように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます