第3話

 こんにちは。 


 よく見たら「カクヨムロイヤリティで稼ぎたい!」というエッセイが未だに連載中になっている。気付けば滞ってから二年は経過しているので、おそらく読者だった数少ないユーザーの皆さんは「ああ、収益化断念したんだなコイツ」と察していただけたに違いない。


 収益化断念と同時に筆まで折ろうとする男。それが僕なんです。


 どうでもいいけど一人称が「私」だったり「僕」だったり作品によって違うんだけど統一した方がいいですかね?混乱しないですか?


 最初は「私」で統一しようとしてたんですが読み直しているウチに「私」だと「異世界転生で序盤に出てくるかませ犬っぽい雑魚キャラ」感が凄いなと思って僕に変えたりしました。


 どっちでもいいですね。


 


 さて今回からようやく制作の話に入っていきます。


 まず一番お金がかかったところのお話からしなければなりません。


 今回一番お金をかけたのは「ビート」です。つまり後ろで流れている音ですね。こちら今回は全て外部発注をしました。


 外部発注という言い方をしてるのは昔は僕も自分でこの「ビート」と呼ばれる音を作っていました。グループで活動している時の曲は八割が僕の作った「ビート」でした。


 一番最初お金がなかった頃はサンプラーという機材を買い、それでCDから音を搾取して組み合わせてビートを作っていました。その手法は独特で、本来はMPCという機械を使うということはずっと後になって知ります。


 そして社会人になりI Macを買いました。そこからビート人生は大きく変動しますが書いてると長くなりすぎるので割愛。


 とにかく昔は自分で作っていたビートでしたが、作詞作曲に加え編曲(アレンジと言います)もやるとなるととても大変でした。


 とにかく一曲にかかる時間が尋常ではなく、クオリティも全て中途半端になってしまい一時期全く歌詞が書けなくなったりしたので僕はこのビート制作は沼であると直感しました。


 歳を経て、自分はやっぱりラップが好きだと改めて思った僕はビートの外部発注を決意します。


 そこで出会ったのがYouTubeのフリービートです。フリービートは商用利用せずYouTubeなどで歌うだけだったら無料で使用して良いよというものでした。


 しかしこれは言わばお試し版で、いざ歌ってみて発売したいとなると商用ライセンスというのを購入してくれというシステムです。


 この購入ライセンスというのが複雑で、ビートの製作者さん、俗にビートメイカーと呼ばれる人たちですがその人によって値段も条件も様々です。


 誰が何の参考にするか分かりませんが今回いくつかの例を挙げてみたいと思います。


 ◼️ビートメイカーAさん(商用ライセンス購入タイプ)


 Aさんの場合値段はほぼ一律で一曲のライセンスは4,000円でした。条件はYouTubeとFacebook musicへの収益化登録だけはしないでくれということと、名前のクレジット表記をどこかにしてくれというもの。


 収益化登録に関しては非常にややこしく、この二つに登録してしまうと既にYouTubeにあげられているビートメイカーさんの元の音源が盗作と見なされてYouTubeから削除依頼が来てしまうことがあります。


 先にあげている本家を偽物!?と思うかもしれませんがYouTubeはあくまで申請があった順に本家と見做していくので、こういう事が往々にして起こり得るのです。


 これらは「コンテンツIDの登録」と呼ばれています。ビートメイカーさんから「コンテンツIDの登録だけはせんでくださいね!」とエヴァに乗るなばりに言われますがググってもどうしたら良いものか分からないので理解するのに時間がかかりました。


 僕が今回、配信の仲介に使ったサイトでは単に手続きの時にチェック項目から外せば良いだけだったのですが、とにかくビートメイカーの皆さんがそれをやったらニアサードインパクトだぜ!ばりに言うのでビビってしまった僕でした。物を知らないということはそれだけで時間や労力の損失になりますね。


 

 続いてまた別のタイプのビートメイカーさんの場合です。


 ◼️ビートメイカーBさん(独占権購入タイプ)


 Bさんは主に独占販売権というのをライセンスとして販売していました。価格は一律8,000円くらいです(多分安い)


 ちなみに余談ですが、先述したAさんのように商用ライセンスを売りながら、並行して独占販売権も売っているという人もいました。その場合、商用ライセンスと独占販売権では価格に大きく差がある場合が多かったです。


 話をBさんに戻します。


 独占販売権というのは金額を払えばビートの権利自体を譲渡します、というシステムです。一旦お金さえ払ってしまえば後は好きにしてください、クレジット表記も必要ありません。というものです。他の人も使えません。まあ文字通り独占権の販売になるわけです。


 海外ではこのやり方が一般的になりつつあり、日本ではあまり知られていませんがビート販売専用のECサイトがいくつかあったりします。


 海外では有名なアーティストがビート販売のサイトでアマチュアやセミプロの人が作ったビートを買って次の新曲に使う、なんて事もあるそうです。


 日本では普通、有名なアーティストといえばお抱えのビートメイカーが何人もいたり、レコード会社やレーベルが抱える作家さんに頼んだりするものですが、コストを抑えてまだ見ぬ未知の才能の発掘がし易いという意味では、この方法は色々な面から見て合理的かもしれないですね。


 独占権の購入は面倒な手続きがほぼないのと先述したコンテンツIDの登録も出来るので収益率も高いと思うのですがビートメイカーさんによっては高額な場合もあるので、収録曲の全てに独占権の購入をするとランニングコストがかかりすぎるかもしれません。


 続きます。


 ◼️ビートメイカーCさん(オーダーメイドタイプ)


 こちらは完全発注の買い取りで一番お金はかかるけど最終的なコスパの良さはダントツです。何しろ自分の好きな様に音を作ってもらえる上に、権利も買い取れるので余計な心配は無し。一般的にはこのやり方でビートを購入されてる方が多いはずです。


 しかしこちらも当然デメリットがあります。


 まず時間がかかること。既存のものでなくいちから生成する上に自分の抱くフワッとしたイメージをビートメイカーさんにしっかりとした情報にまとめた上で伝えなくてはいけません。


 今回、僕は「こういうのをお願いします」という具体例を提出したにも関わらず、出来上がるまでにかなり時間がかかりました。


 それでも100%納得のできるものではなかったし、なんなら相棒は納得すらしてなかったです。


 オーダーメイドでビートを注文する時に必要なのは自分の頭の中身を伝える能力とコミュ力と時間とお金です。あとやり取りが大概メールかLINEなので文章力と常識もある程度必要です。


 ここまで書くと相当ハードルが高いように感じますがある程度社会では必要とされる能力でもあるので、普段仕事で発注をしたりする方は何の問題もないと思いますし、経験のない方でも将来的に必要なスキルではあると思うのでやっておいて損はないと僕は考えます。


 でもはっきり言って手間なのでフリービートの方が楽だし僕は断然オーダータイプより独占権購入タイプがオススメですね。



 というわけで今回、僕がアルバムのビートにかけた費用は以下の通りです。


 ◼️商用ライセンス

 4,000円×4、18,000円×1


 ◼️独占権 

 8,000円×2


 ◼️オーダーメイド

 15,000円×1


 計61,000円也


 という感じです。ビートだけで六万円。いや、書き出すと凄いですね。改めて実感しちゃいました。


 ライセンスの中に一曲だけ18,000円のものが混じっていたのは、間違いでもなんでもなくお手頃な商用ライセンス購入と言えどビートメイカーさんによって振り幅はあるよ、ということでした。うっかり金額を見ないで購入連絡をして、請求書みてビックリ!なんてことはままあることです。



 さて、長くなってしまいましたがビート購入費用編は以上です。


 こんなこと、細かく書いてマジで誰に一体需要あるんでしょうか?甚だ何故でありますが、いつか誰かの役に立つことを祈って。


 最後まで読んでくださりありがとう!


 次回は配信仲介会社への手数料編です。



 続

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オリジナル曲配信するのに十万近くかかったけどアルバム全然売れねえわ 三文士 @mibumi

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