第3話
目が覚めるとまだダンジョンの中だった。素っ裸で倒れている。ガーゴイルがやくそうを使ってくれたのか、身体中の傷はだいたい治っていた。啜り泣きが聞こえる。ガーゴイルが、泣いている……!?俺は相手がメスとわかると優しくしてしまうタチだ。
「どうしたんだ、ほら、泣かないで」
側から見たら滑稽だが、素っ裸で傷だらけのひげもじゃの男が、メスのガーゴイルの背中を撫で、あやしている。
「あのね……アナタの……おかげで……」
「うん?どうしたんだ?」
「私の夢が叶ったの……!!」
ガーゴイルの、人間の数倍の力で抱きしめられ、俺は咽せこんだ。
「いったい……どういう……」
「私はね、人間のオスと交尾をして子どもを産むのが夢だったの。アナタのさっきので、ほら……」
ガーゴイルは愛おしそうにお腹を撫でる。
俺は頭を抱えた。ネネとはいくら頑張ってもできなかったのに、ガーゴイルを孕ませてしまうとは……。しかし、男として、責任を取らねばなるまい。
「なぁ、ガーゴイル、一緒に暮らさないか」
初めてできた俺の子だ、大切にしたい、そしてまたあの快楽も得たい……。──後者の比率が高かった気がするが、読者の皆様はどうか許してやってほしい。彼も人間の男だ──。
俺はガーゴイルを連れ、元の村からは離れた空き家の古民家を見つけ、そこで暮らすこととした。後に卵から人間とガーゴイルのハーフが生まれ、俺はまた殴られては瀕死にされ、謎の呪文を唱えられ、深い快楽に落ちる、意識も落ちる、そんな繰り返しの日々を送ったのだった。めでたしめでたし。
異形に恋した冒険者 羊屋さん @manii642
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