ep.06 分水嶺
振り返ってみれば、ここが分水嶺だったのかもしれない。
もし僕がもう少しだけ僕に自覚的だったら、もし目の前の時間が何で成り立っているのかを心に留めていたら、きっと僕と笠松さんの関係値は何も変わらなかったはずなのに。
簡単に覚めるはずの幻想だった。
心を凍させる冷たい秋風が吹いてくれたりすれば。
簡単に。
11月14日。乾いた細枝から、くすんだ枯葉の最後の1枚が落ちる頃。
欺瞞で成り立つ僕らの関係は決定的な破綻を迎えた。
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