第73話 前方に敵戦車確認
しかし、陣前に展開中の部隊は楽観的であった。
それは装甲車両であったため、命中弾でもなければ撃破は困難であることを知っていたからである。
そんな時、第3堡塁の防空陣地から、現在爆撃をしている航空機に、地帯空ミサイルが命中し、損害を与えたとの連絡が駆けめぐる。
「三枝軍も奇襲作戦のつもりかもしれないが、これでは大した損害を受けないな、天才というから、どんな攻撃が来るかと思ったが、それほどでもないな。」
そんな中、師団長が直接無線で
「ばかもん、機甲大隊の指揮官は迅速に城内へ後退せよ、次が来るぞ。」
師団長も気付いていた、この連携の取れた行動が、更なる攻撃への予兆であることを。
実際、空爆の影響は少ないとするも、第1堡塁の前面には、要塞砲と機関銃
「司令部、こちら第一機甲大隊、前方に敵戦車確認」
2部長があわてて作戦図を確認する、早すぎる、さすがに、速度の落ちた戦車では、先ほどの停車位置からここまでもう少し時間がかかるはず。
三枝軍の機甲部隊は、装甲車内の人員を夜間攻撃に備え、陣前で下車展開させる必要がある、その下車時間を含めれば、10分は計算が合わない。
おかしい、セオリーから外れすぎている。
一体どこで下車展開させるつもりか、これ以上陣地に近い場所で展開すれば、生身の兵士など要塞砲や機関銃で
これ以上
いや、これはもしや
そんなことをすれば、装甲車もろとも車内の人員も全滅するはず、そんな攻撃方法、これまでの学校教育でも
2部長はかなり混乱をしていた、そしてこの混乱状態も、三枝龍二の狙いでもあった。
人間の思考は、同時に起こるアクシデントに対応出来る数には限りがある、それは三枝龍二はよく知っていた、何故なら彼自身が、人の何倍も同時にアクシデントを裁くことが出来る頭脳の持ち主だからである。
そう言う人間であればこそ、師団司令部で作戦幕僚をするほどの高い頭脳に対し、また闘将で知られる師団長の頭脳をもってしても、どの程度の
当然、装甲車から下車展開する場所は、陣地の手前であることはこの時代の常識である。
それをあえて違う場所で下車させて歩かせる、それもやや早足で。
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