第七話
最初の夜の、夢をみた。
閉ざされた
「痛かった?」
ごめんね。そう、言い添えるように、彼は、ぼくの頭を撫でた。ふわりと包み込む、涼やかな薬草の匂い。優しい愛撫だった。なんて矛盾だろう。やめるつもりなどないくせに。
「初夜の子は泣いてしまうことが多いってきいていたけれど、よかった、君が泣かなくて」
頬にかかる髪を
ひんやりと熱を吸う白い手が、涙の伝わないぼくの頬に触れる。輪郭を確かめるように数度、撫でてから、あやすような穏やかさで、ゆっくりと首へ、胸へ、下りていく。対の手は、そこからつづくさらに下、
泣けば誰かが助けてくれたの? 泣き叫べば誰かがぼくの手をひいて、ここから連れ出してくれたの? 救いだして、くれたの?
――ねえ? 瑠璃。
薄くひらいて呼吸をととのえるぼくの唇に、このひとのそれが降りてきて、ぼくは再び息をとめた。重ねられる胸。かち合う
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。