第85食 ホンカレー:神保町ブックセンター(C13)
神保町界隈には、スポーツ用品街や古本街という側面があり、そんな本屋街に在る書店の一つに「神保町ブックセンター」がある。
この店が興味深いのは、書店の店舗内に喫茶店が入っている点なのだ。
例えば、夜は、本の在る雰囲気に合った食事に加え、日本酒やビールやウイスキーが提供され、昼は昼で、パフェやプリンアラモードといった洋風の甘味やコーヒーなどの飲み物に加え、軽食も摂れる。
ランチの食事は、サンドウィッチやハンバーグといった五種類なのだが、その中には、カレーメニューもあり、それが「ホロホロになるまで和牛を煮込んだこっくりカレー」なのである。
つまるところ、神保町界隈に在るこの店のオリジナリティとは「本に囲まれた空間で、本を読みながら」、カレーが食べられるという〈本(格)喫茶〉な点なのである。
注文方法は、喫茶スペース内に着座すると、スタッフが来てくれるというスタイルで、その際に書き手は、迷わずにカレーを注文したのは言うまでもない。
やがて提供されたカレーには白いソースが掛かっていたのだが、おそらく、これが、ガイドブックの店紹介ページにあった「カレーに合う『里山のつぶ』」なのであろう。
残念ながら書き手は、午後の用事のために、華麗に〈カレー&アウェイ〉をせざるを得なかったのだが、実は、壁際のおひとり様用の席には、端末用に電源が備え付けられているので、ここでは、カレーを食べた後に、物を書いたり、本を読んだり、心行くまで存分に物書や読書が楽めるようにさえなっている。
自分が買った本ならば、読み〈ながら〉食べても構わないであろう。
例えば、サンドウィッチとは、片手でカード遊びをしながら、もう一方の手で簡単に食事を済ませる為に考案された軽食な分けなのだが、同様に、ライスカレーもまた、寸暇を惜しんで読書をしたい〈本の虫〉にとっては、片手に本を持ったまま、もう片方の手で匙を口に運び続けるには、まさに最適な料理なのである。
ここに、本とカレーの相性の良さが認められよう。
つまり、端末や本を汚損させない自信があれば、カレーを食べながらの読書は、それをする当人自身の問題であろう。
もっとも、書き手は、本を読みながらカレーは絶対に食べたりしない。
それは、自分の粗忽さを自覚しているので、本を汚してしまう確信があるからなのだ。
〈訪問データ〉
神保町ブックセンター:神保町・神保町
C13
十一月十五日・火・十三時
ホロホロ和牛カレー:一〇〇〇円(QR)
〈参考資料〉
「神保町ブックセンター」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、六十二ページ。
〈WEB〉
「CAFE」、『神保町ブックセンター』、二〇二三年三月四日閲覧。
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