第070食 ネパーリラーメン、何それ、美味しいの?:プルナ(E09)
十月最後のこの日、書き手は、夜に行くべきカレー店を、カレー・ガイドブックとニラメッコしながら探していた。
月曜日の夜は、仕事の関係上、二〇時以降でなければ身体が開かないので、二十時半以降がラスト・オーダーか閉店時刻になっている店が対象になる。
これを基準に見付けた店が、神保町からも淡路町からもアクセス可能な、小川町のネパール料理店〈プルナ〉であった。
カレー・ガイドブックによると、この店は十年前の二〇一二年に開店した、インド・アジアン・レストランで、「シェフはネパールの5つ星ホテル『エベレスト』で10年間修行」したらしい。
この店、プルナのオススメは「毎朝仕込む日替わりカレー」で、さらに、一番人気のメニューは「小川町ターリー」であるそうだ。
ターリーとは、そもそも〈大皿〉の意味で、そこから派生して、多くの場合、銀色の大皿にまとめられて、ワンプレートで提供されるタイプの料理形式の事を意味する。要するに、ターリーとは定食と考えれば、我々日本人にも分かり易いかもしれない。
つまるところ、「小川町ターリー」とは、〈小川町定食〉の事になるであろう。だがしかし、ターリー(定食)に、「小川町」という店が位置する町名が付いているだけなので、具体的に、その定食がどんな内容の料理なのか、書き手には想像がつかなかった。
つまるところ、五つ星の凄さがどれ程かも、小川町定食の内容も分からなかったので、書き手は、ネットでプルナの事を調べてみる事にした次第なのだ。
店自体が運営しているホームページはなかったのだが、幾つかのグルメサイトに、店のレビューが投稿されていた。
だがしかし、である。
書き手の目を釘付けにしたのは、日替わりカレーや小川町ターリーではなく、ガイドブックには記載されていなかった〈ネパーリラーメン〉というメニューであった。
ネパーリラーメン自体は、料理として未知であっても、その名から容易く想像できるように、これは、ネパール風のカレーラーメンで、もはや、書き手は、これ以外のメニューを注文する気がなくなってしまった。
店に着くと、その入り口には、「プルナ一押!」が売り文句となった、ネパーリラーメンの貼り紙さえあった。
そして、貼り紙には、「あったか!」という文句も添えられていて、もしかしたら、このラーメンは、寒くなってから提供される冬限定のメニューなのかもしれない。
さらに、その貼り紙には、「チキンと目玉焼き、たくさんの野菜 ピリ辛スープが旨い! ネパールの煮込みラーメンです。鶏ガラとカレースパイスのスープは最後の一滴まで飲みほして下さい。体にも良く、おいしいですヨ! あたたまります」と料理の具体的な説明書きがあって、これを読んだ書き手の食欲は、いやが上にも高められたのであった。
入店して、予定通りに件のメニューを注文しようとしたのだが、ネパーリラーメンは煮込み料理なので、提供には少し時間がかかるとの事であった。だが、ここまで来て、多少の待ち時間など何する物でもない。
やがて提供されたのは、カレーラーメンと言うよりも、ぐっつぐっつと煮立った、カレー煮込み〈ラーメン〉と呼ぶに相応しい料理であった。
料理は、熱々に煮立っていたため、口の中が熱くなるだけではなく、喉を通った後は、身体の内側から暑くなったので、おそらく、かなりスパイスが効いて、身体の表と裏、両側からあっためるようになっているのであろう。
まだ十月の末日で、本格的に寒くなってくるのはこれからなのだが、このネパーリラーメン、冬の日本に ぴったりな一品であるように、書き手には感じられたのであった。
〈訪問データ〉
インド・アジアン料理 プルナ (PURNA):淡路町・小川町
E09
十月三十一日・月曜日・二〇時半
ネパーリラーメン:八九〇円(QR)
〈参考資料〉
「インド・アジアン料理 プルナ (PURNA)」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、二十七ページ。
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