孫一〜不知火包囲戦①人生で面倒くせぇ事になっているようだが全く把握出来てない瞬間No.3

 普通に仕事してた訳よ、残業で。20時ぐらいか?

 そしたらさ、いきなり車で拉致られて待機しろ言われた。

 意味分かんねぇっすよね?俺も分かんねぇっす。


 とりあえず訳分からない事になったら千代に電話だ。


『おーい、千代。お前の仕業か?』


『ゴメンナサイ…棺の国が攻めて来たの…とりあえずマゴ君と子供達には隠れて貰った…ここが…私達の生きるか死ぬかの瀬戸際だから…』


『いや、意味わかんね〜事言うな。いい加減怒るぞ?』


 こう言って言うこと聞いた試し無いけどな…


『皆生きて…怒られるなら本望だよ…マゴ君…愛してる…絶対…帰るから…プツ』


 始まった…また意味分かんねぇ事始めてるよ。

  千代のお家芸【私、覚悟決まった感】

 棺が相手なら決まってる。俺が行きゃあ良いんだろ?

 そしてこんな時に限って棺の電話は繋がらず。


 困った時の獅子川頼み、聞いて見よう、やってみよう。


『おーい、獅子川オーナー。いきなり拉致られたんだけど…俺行った方が話し早いって…なぁ?聞いてる』


『ウ~ン…………………』


 長えなぁ、悩んでるなぁ…獅子川も色々言われてるんだろうなぁ…


『そこにバイクあるからさ、永井を色んな所に運んでほしいんだ。それやってる間に棺に会うと思うから』


 何、その雑な作戦…それ駄目じゃね?


『白座君にはあんまりウロウロして欲しくないんだよなぁ…ボクか言ったってバレたら千代が怒り狂うし…』


 まぁほら、そこは神出鬼没のボス的な感じでさ…


「お館様、バイクと永井の用意が出来ました!」


 千代の乗っているレーサーバイクを持ってくる定満家の人…あんたらのお館様は辰さんだろ?おかしいだろ?順位が…それと永井って用意するもんなんだな…


『白座君、大きく分けて定満家と西園寺家、この二つに絞って棺の国は展開している。夜を狙って、そして今日は東京で大きな花火大会…人の少ない状況を用意する、つまりある程度の兵器は使う気だ…そうなる前に極力ケリをつけたい。どちらかを選んで永井と共に敵戦力を削ってくれ…』


 あんまり削るとかする気はないが…


「了解、とりあえず棺の場所が分かったから連絡頂戴」『分かった、無事を祈る』


 とりあえず近いからという理由で定満家の方に向かった。バイクで走っていると、とても運転しづらいせいか変な動きが多く後ろで永井が酔っていた。


「道場の奴らにも声かけるからおろしてくれい!気持ち悪いぃ」


「図体ばっかりで約に立たない永井…お前は本当に…まぁ良いや、後で合流な!」


 と、言っている途中で永井がバイクから落ちていた、まぁ平気だろう。




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 定満邸の近くまで来たが…なるほど、これは大事だ。

 遠目から見てもごっつい装甲車、何か見たこと無い各種兵器が揃った500人ぐらいの軍隊が定満邸を囲っていた。


 なぜここまでするのか分からないが…いや、親戚の挨拶でいきなり車に轢かれたら怒るよな…いや、ここまで怒るか?


 まぁ良い、シンプルに行こう。万が一の時は永井が来るしな。

 

『ここに来栖川棺はいるか?お目通り願おう!!』


 とりあえずそれっぽく言ってみたが…捕まったら嫌だなぁ…


 しかし棺の関係者は何やらちゃんとしているらしく、『こちらです』と丁寧に囲っている軍?の中心まで連れてきてくれた。


 まるで祭壇の様な場所で胡座をかき、指をふわふわ動かす不思議な動きをした中学生くらいの女の子がいた。

 その姿は神々しいに近く、千代のいう、まさにファンタジーの世界の住人だった。

 

 上から透けた布が被さっているが、その格好は俺の好きなエロゲーのスク水風変身ヒロインのようでちょっと凝視してしまった。

 

「はじめまして…私は棺の国…異能大隊【敬死天】筆頭…アマテラスと申します。この隊を率いているのは私であり…棺はここにはおりませんよ?」


「私は白座孫一と申します…て、えぇ!?いないんスカ」


 失敗したなぁ…


「自ら敵陣のど真ん中で白座孫一と名乗るとは…流石、死王。変わりませんねぇ…それとも私との関係を知っての上で?」


「いや、君みたいな変身ヒロインはエロゲーでしか知らないが…」


「エロゲー?まぁ良いでしょう。それより…これから私は異能集団…敬死天を使い、火力無しで定満を占拠しようとしてますが、そちらのトップとしてはどう思われますか?」


「占拠してもいいけど死人はやめてくれよ?」


「ふふふ、変わらないですねぇ…それに…一番心を読みやすい質問形式でも全く見えない…流石ですねぇ。でもね、知ってますよ?死人を出せば出すほど貴方の力が増すのは…だから鎮圧を目的として私が来たという訳です。抗いますか?それとも…」


 いや、増さないが…何に対して増すんだよ…


「いや、俺は決められないので…一旦帰って相談していいですか?」


 フフフっと、ベールの下で笑ってるように聞こえた。

 

「王が敵陣のど真ん中に来た…帰す訳無いじゃないですか?それより…私の洗脳波が行き届きませんが…定満家には何がいるんですか?」


「洗脳波?いや、全然分からない。誰かいんの?」


「相変わらず死王は底が見えない…聞こえないですねぇ…まぁ良いでしょう。私、自ら行きましょう」


 ちょっと何言ってんのか分からんが…どうすんだろう?


「貴方は私の後に付いてきて下さい。どちらにせよ棺の国は近い将来、貴方の下に付くんです。それが棺の国の道ですから…私も含めてね…だから私の力を見てもらいましょう…獅子川美音が何を考えているのか分かりませんが…圧倒してみせましょう…さあ…何人か、付いてきなさい」


 とりあえず死人は出ないらしい…じゃあ良いか。


 アマテラスとやらにくっついて行くと、定満家の門が見えてきた。そこに…門の前に1人だけ…まるで迷い込んだ様に…佇む…男。

 1人だけ門の前に立つ…男…何でだ?


 俺は知っている。この男を…

 高校の同級生…ありとあらゆる記録媒体から存在を消され…

 なんの意味もなく何も残さず責任を取らず…

 嘘だけついて逃げ回り何かあれば人のせい…

 そして常に俺を殺すという結論に出る謎の脳味噌…



 そう、その名は岡田裕二…何でいんの?


 

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不知火の軌跡〜願いを叶える力を持つ幼馴染や友人が勝手に俺を神輿にして大騒ぎ、気付いたらどえらい事になっていたが今すぐ解散して欲しいです クマとシオマネキ @akpkumasun

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