戦海の破城槌

第58話 第一機動艦隊

　連合艦隊は第一艦隊こそ従来通りの戦艦を基幹とした編成だが、第二艦隊から第五艦隊までは空母中心の機動部隊に改められていた。

　そして、その五個艦隊をまとめたのが第一機動艦隊であり、第二艦隊の「大鳳」に座乗する小沢中将がその指揮を執る。

　第一機動艦隊

　第一艦隊

　戦艦「大和」「武蔵」「長門」「陸奥」「伊勢」「日向」「山城」「扶桑」

　重巡「愛宕」「高雄」「摩耶」「鳥海」「熊野」「鈴谷」「最上」「三隈」

　軽巡「阿賀野」

　駆逐艦「雪風」「初風」「天津風」「時津風」「浦風」「磯風」「浜風」「谷風」

　軽巡「能代」

　駆逐艦「萩風」「舞風」「野分」「嵐」「陽炎」「不知火」「黒潮」「親潮」

　第二艦隊

　「大鳳」（零戦三六、彗星九、天山九）

　「翔鶴」（零戦三六、彗星三〇、天山九）

　「瑞鶴」（零戦三六、彗星三〇、天山九）

　「千歳」（零戦二四、九七艦攻三）

　重巡「利根」

　駆逐艦「秋月」「秋雲」「夕雲」「巻雲」「風雲」「長波」「巻波」「大波」

　第三艦隊

　「雲龍」（零戦三六、彗星一二、天山九）

　「天城」（零戦三六、彗星一二、天山九）

　「葛城」（零戦三六、彗星一二、天山九）

　「笠置」（零戦三六、彗星一二、天山九）

　「千代田」（零戦二四、九七艦攻三）

　重巡「筑摩」

　駆逐艦「涼月」「朝雲」「山雲」「峯雲」「霞」「朝潮」「大潮」「満潮」「荒潮」

　第四艦隊

　「比叡」（零戦三六、彗星九、天山九）

　「霧島」（零戦三六、彗星九、天山九）

　「隼鷹」（零戦三六、彗星九、天山九）

　「龍鳳」（零戦二四、九七艦攻三）

　「瑞鳳」（零戦二四、九七艦攻三）

　重巡「妙高」

　駆逐艦「初月」「松」「竹」「梅」「桃」「桑」「桐」「杉」「槇」

　第五艦隊

　「金剛」（零戦三六、彗星九、天山九）

　「榛名」（零戦三六、彗星九、天山九）

　「飛鷹」（零戦三六、彗星九、天山九）

　「瑞穂」（零戦二四、九七艦攻三）

　「日進」（零戦二四、九七艦攻三）

　重巡「羽黒」

　駆逐艦「若月」「樅」「樫」「榧」「楢」「櫻」「柳」「椿」「檜」

　空母一九隻、戦艦八隻、重巡一二隻、軽巡二隻、駆逐艦五一隻からなる一大艦隊だった。

　しかし、一九隻ある空母のうちで正規空母と呼べるものは戦時急造空母の「雲龍」型を含めてもわずかに七隻だけでしかない。

　そのうえ、「翔鶴」と「瑞鶴」を除けばその搭載機数はいずれも五〇機を超える程度であり、米軍の「エセックス」級空母とはその戦力において大きな隔たりがあった。

　それでも一九隻という空母の数は大きくものを言い、常用機だけでも九一八機、補用機まで含めればその数は一〇〇〇機に迫る。

　空母の建造を優先させたことで大型乃至中型の水上打撃艦艇のほうはさほど増勢されていない。

　開戦後に新たに連合艦隊に加わったのは戦艦「大和」と「武蔵」、それに軽巡「阿賀野」と「能代」だけで、あとは本土に軽巡「大淀」がある程度だ。

　駆逐艦も「夕雲」型が七番艦まで、「秋月」型に至っては六番艦で打ち止めとされた。

　それ以降に竣工したのはそのすべてが戦時量産型の「松」型となっている。

　従来からある水上打撃艦艇のほうはそのいずれもが近代戦闘に対応出来るように改装されており、旧式戦艦は一部の副砲を降ろして高角砲や機銃を大量増備、戦艦ほどには艦上にスペースの余裕が無い巡洋艦や駆逐艦もまた可能な限り機銃を増設していた。

　さらに、水上打撃艦艇の多くがドイツからもたらされた聴音機やソナーを備え、さらにドイツ人技術者からのアドバイスで機関の騒音低減策を講じたこともあって潜水艦探知能力を大幅に向上させている。

　これら戦力で第一機動艦隊は強大な米艦隊に挑む。

　すでに、サイパンやテニアン、それにグアムでは戦闘が開始され、現地の航空隊と米母艦航空隊との間で航空撃滅戦が展開されているという。

　一機艦はマリアナへと急ぐ。

　米軍の戦力は十数隻の正規空母と軽空母、それに同じ数の護衛空母。

　それらを合わせた航空機の数は一五〇〇機を数えると予想されている。

　敵は強大、だがそれらを撃ち破らない限り日本に未来は無かった。