第10話クエスト

「こうして地図を持って歩いてるとさいかにもファンタジーゲームの冒険者になったような気分になるよね!」


ミユキがキラキラした目でそう言ってくる。


「ミユキの場合ファンタジー要素があるだけで嬉しいんでしょ」


でもまあ今の私たちはゲームの世界で動くキャラクターじゃないにしても冒険者っていうのは本当だからな、まだ仮だけど。


そんな話をしながら歩いていると目の前の草原に何体かのゴブリンがいた。


「ゴブリンてダンジョンの中だけにいるんじゃないんだね」


私がふとそんな言葉を漏らす。  


とりあえずバレないようにその場を通り過ぎようと思ったが途中でゴブリンにこっちに顔を向けらればれてしまう。


「仕方がないこうなったら戦うしかないね!」


そう言いながら魔法の杖を構える。



同じように剣を構える。


少し苦戦するかと思ったが前に倒したことがあるからなのか思ったよりも早く倒すことができた。



「なんか前にゴブリンと戦った時よりも速く倒せたね」


「ナナミも剣を使いこなせるようになってきたし私も魔法の使い方がだんだんわかってきたしね」


「お互い戦い慣れたってことじゃない」


そんな話をしながら足を前に進める。


すると今度は目の前にゴブリンとは違うモンスターがいた。



「きっとあれがクエストの紙に書かれてたスライムだよ」


「でも結構かずがいるね」


「初心者向けのクエストだと思うし大丈夫じゃない、そんなに大変なことにはならないでしょう」


そう言って魔法の杖を構えて容赦なくスライムが集まっている真ん中にファイヤーボールを放つ。


すると狙い通りにスライムが集まっているところでボンと勢いよく爆発する。


スライムは私たちの存在に気づき全員で私たちに向かって攻撃しようとしてくる。


私も再び剣を構えてたくさんいるスライムの方へと駆けていく。


順調に周りにいるスライムを倒していってはいたのだが隙を突かれてしまう。


一体のスライムが私に向かって奇妙な液体のようなものを飛ばしてくる。


私はそれを避けきることができず食らってしまう。


「大丈夫ナナミ!」


そう言って駆け寄ってきてくれた。


ふと横に目を向けてみると自分の服がだんだんと溶けているのが分かる。



あのクエストの紙に書かれていたことと同じだった。


気づけばもう服が溶けて肌が少し見えている。


このまま何もできなければ全身の服がそのうち溶けてしまう!


「このままだと服が溶けちゃうね」


「冷静に喋ってないでこの状況どうにかしてよ!」


そんな会話をしている間にも服がだんだんと溶けていく。


この服が溶けてどうなってしまうんだろうと考えると恥ずかしさがこみ上げてくる。


「もうやだ!!!」


私がそう叫んだと同時にスライムの方に向かって手に持っている剣から斬撃が放たれた。


その攻撃で周りにいた何体かのスライムは一気に消し飛んだ。


「ナナミの今の攻撃で20体以上のスライムを倒したからこれでクエストクリアだね」


周りにいた全てのスライムを倒し無事に服が溶けるのも治ったがやはり服が戻ることはないらしい。


今日はライブ配信をしながらの冒険ではなかったので不幸中の幸いだった。


これでもし生配信をしながらの戦いだったら大変なことになっていただろう。


恥ずかしいなんてものじゃない。


「私の服貸してあげるから着なよ」


「その格好じゃ寒くて歩けないでしょ」


そう言って私の肩に来ていた服を脱いでかけてくれた。


「ありがとう」


そう言って立ち上がり足をギルドの方に向けて歩く。



「おかえりなさいクエストの方はどうでしたか?」


「なんとか無事にクリアすることができました」


ミユキがそう答える。


「そうですかそれではこれが成功報酬の金貨20枚になります」



そう言って小さめの巾着袋を手渡してきた。


「ありがとうございます」


私たちはそうお礼を言ってその小さな巾着袋を受け取る。


そしてそのギルドを出る。


「さて無事にお金も貯まったことだし宿に泊まろうか」


「また昨日と同じ宿でいいよね?」


ミユキが聞いてくる。


「うん」


昨日泊まった宿に向かう。


昨日と同じようにお金を払い鍵を受け取り部屋の中に入る。


少し高くついてしまったがずっと破れた服を着ているわけにもいかないので福岡してもらった。


ミユキの服は破れていないので別に借りる必要はないと思ったのだが同じのを着てみたいということで同じのを頼んで着せてもらった。


「その服似合ってるねナナミ」


「ミユキもね」


「2人でお風呂入りに行こうよ」


「いいよ」


2人で少し離れたところにあるお風呂場へ向かう。


お風呂場というより温泉と言った方が近いかもしれない。


服を脱いだ後中に入り体を洗う。


「それにしてもこの温泉を見た時はびっくりしたわ」


「なんで?」


ミユキが疑問の言葉を返してくる。


「私の中でファンタジー世界って中世ヨーロッパみたいな感じだったから温泉があるとは思わなかった」


「前に私たちと同じようにこの世界に転生してきた誰かが日本人でこの温泉を作ったのかもしれないね」


「体も洗い終わったことだし早速温泉に入る!」


そう言って勢いよく温泉の中でジャンプして入る。



「ナナミも早く入りなよ」


「温泉の中にジャンプして入ったら危ないでしょ」


ため息をつきつついう。


「お母さんみたいなこと言わないでよ」


「それにしてもよかったこの世界にお風呂がなかったらどうしようかと思ってたけど」


「それにしても来れたらどうしようか?」


「 有名ライブ配信者になっちゃえば、 ファンの人数はまだまだだと思うけど続けていけばきっと増えると思うし」


「それにファンが増えればスパッチャで暮らしていけるようになるよ」


「ちょっと考え方が楽観的すぎない」


まあ今に始まったことじゃないけど。



「このぐらい楽観的の方が良かったりするんだよ、多分だけど」


そんな話をしながらお風呂に入って部屋に戻る。


それからしばらくすると部屋に夕食が届いた。



「ゆっくりくつろいで下さい」


「ありがとうございます」


「それじゃあご飯食べようか」


「うん」


「いただきます」

「いただきます」


テーブルの上にはパスタのようなものや色々な料理が並べられている。


「どの料理も美味しいね!」


ミユキは本当に美味しそうに笑みを浮かべて言う。


私も同じようにテーブルに並べられた料理を食べる。



食べたことがあるような料理もあれば今までに食べたことがない味がした料理もあった。


「はぁ美味しかった」


ミユキが満足そうな笑みを顔に浮かべて言う。



「この料理どうやって作ってるんだろうね」


ミユキが素朴な疑問を口にする。


「パスタみたいなやつは私たちがいる世界のものと作り方はあんまり変わんないと思うけど」


しばらくして。


「そろそろ空も暗くなってきたし寝ようか」


「そうだね」


「私はそう言葉を介して同じベットに横になる。


「私たちの冒険はこれからどうなっていくんだろうね!」


ワクワクした表情を顔に浮かべてミユキが言う。


「どうなんだろうね平和に過ごせるといいけど」


「きっと面白いことがたくさん起こるよ、だって私たちの異世界生活はこれからなんだから」

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第二の人生 まさかの私が人気【ライブ配信者】に閲覧数が上がれば上がるほど経験値が手に入るってどういう仕組みですか〈スローライフ〉を送ろうと思っていたのに無理そうです カイト @478859335956288968258582555888

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