第9話ギルド仮入会

「何とかあのボスモンスターを倒すことが出来たね」



私はダンジョンの入口へと足を進めながら一息ついてそう言う。



「まぁよかったじゃん無事にモンスターを倒すことができて」



「まあそうだね」



そんな話をしながらダンジョンの外に出る。



「空は真っ暗だね 」



ミユキが空を見上げながら言う。



「今日泊まる場所を探した方が良さそうだね」



「それよりまずこのモンスターの素材を売って泊まるためのお金を作んないとね



それはそうだ今私たちはお金を1円も持っていないそんな状態では何もできない。



私たちは一旦歩いて街へと戻る。



「あのこの素材を売ることってできますか?」



お店の男の人にミユキが確認の言葉を投げかける。



「ああできるよ」



「そうですかそれならこの素材を売ります」



「ありがとよ」



男の人はそう言ってミユキに金貨を手渡す。



「ありがとうございます」



「さて今日泊まるための宿代も手に入ったことだし泊まる場所を探そうか」



「泊まる場所って言ってもここら辺にそんな場所あるのかなぁ?」



ここに来るまでにそんなに意識して周りを見ていなかったのでもしかしたら私が見落としているだけなのかもしれないが。



私が見落としているという考えはどうやら合っていたようで少し街の奥の方に行ってみると、小さめの建物の宿屋があった。



「とりあえず中に入ってみようか」



「うん」



私は頷いて2人でそのお店の中に入る。



「すいません2人で泊まりたいんですけど部屋空いてますかね?」



ミユキが尋ねる。



「はい空いてますよお2人とも同じ部屋に泊まるということでよろしいでしょうか?」



「はいそれでお願いします」



「この鍵が2人部屋の鍵になります」



私にそう言って部屋の鍵を手渡してくる。



「この廊下をまっすぐ行って突き当りのお部屋になります」



「ありがとうございます」


 


お礼を言った後教えてもらった通りに廊下をまっすぐ行って突き当たりの部屋の前で足を止める。



「ここみたいだけど?」



この世界に来て初めて泊まるからなのか少し緊張している。



「とりあえず部屋の中に入ってみようナナミ」



「うん」



返事を返して私が持っている鍵で部屋の鍵を開けて中に入る。




部屋に入ってみると2人で過ごすには少し広めの部屋で全体的に綺麗に掃除されている。



「やったー久しぶりのベッドだ!」



嬉しそうにそう言いながらベッドの上へとダイブする。


「でもこれで持ってるお金を全部使っちゃったわけだしまたどうやってお金を集めるか考えないとね」


「うーんそうだなあ…」


「ギルドに行ってみようか」


「ギルド?」


「そう、ファンタジーゲームとかでよくある依頼された仕事をクリアすると報酬としてお金がもらえるの」


「でもそんな場所本当にあるのかな?」


「まあ探してみるだけ探してみよう」


「今日はもう夜遅いし後はご飯食べてお風呂に入って寝るだけだよ私たちがやることは」


それからはミユキの言うとおり私たちはお風呂に入ってご飯を食べてベッドに横になった。



「なんだかんだ言って今日は楽しい一日だったね」


ミユキが楽しそうに言う。


「私はどっちかって言うと慌ただしい一日だったような気がするけど」


「まあまあそう言わずに良かったじゃん 今日たった1日だけで1000人の人がライブ配信を見てくれたんだから」


「私は有名人になんてならなくていいから今度こそ平和なスローライフ人生を送ろうと思ってたのに!」


私のその計画は異世界人生初日に叶わぬ夢となった。


「私も人生生き抜いたわけじゃないから人のことは言えないけど、前の人生で後悔があるんだったら楽しく生きないと」


「いい話ふうにまとめて話をそらさないで!」


そんな話をしながら私たちは眠りについた。


次の日。



「おはようナナミ」


「おはようミユキ」


私たちはそれから部屋に運ばれてきた朝ごはんを食べ支度をしてその宿を出た。


街の中を歩いていた1人の男の人にギルドの場所を訪ねて場所を教えてもらった。



「あの男の人はここがギルドだって言ってたけど」


私はそう言いながらその建物を見上げる。 


私はファンタジーゲームをそんなにやらないので詳しくは知らないのだがその目の前にあるギルドの見た目が私が前にやっていたファンタジーゲームとそっくりだ。


「とりあえず中に入ってみようか」


ミユキの後ろに突いて中に入る。


「今日はどういったご用件でしょうか?」


受付の女の人が訪ねてくる。


「このギルドに入会したいんですけど?」


「それでしたら入会手続きをしてもらう必要があります」


「今必要な書類を持ってきますね」


「ありがとうございます」


「でもこのギルドだけじゃなくて他のギルドも見た方が良くない?」


「だったらあの受付の人に今日1日だけの契約ができるのか聞いてみようか」


「そんなことできるの?」


「それがわかんないから聞くんだよ」


当たり前のことを言われてしまった。


それから少しして受付の女の人が戻ってきた。



「お待たせしましたこれが入会手続きの書類になります」


そう言ってカウンターに必要な書類を置く。


「すいませんこのギルドに今日1日だけお試し入会みたいなのってできますか?」


私の代わりにミユキが聞いてくれた。


「はいできますよこの書類のところにチェックマークをつけていただければ」


「ここにサインすればいいんですね」


書くものを受け取り受付の人が指で示したところにチェックマークをつける。


紙に書かれている内容を読みながらその他にもチェックマークをつけていく。

 

「ありがとうございますこれで契約に必要な書類が全て書き終わりました」


「色々と手伝っていただいてありがとうございます」


私はそう言って少し頭を下げる。


「それで初心者でもできるクエストってありますか?」


ミユキが早速そう尋ねる。


「ええ、もちろんですあちらの後ろのクエストボードに初心者におすすめなクエストが張り出されていました」


「薬草採取なんかがオススメです」


「ありがとうございますとりあえず一通り見てみますね」


ミユキが後ろにあるクエストボードに貼られているクエストの紙を一通り見る。


私も同じようにクエストボードに貼られている紙を見渡す。



すると一枚の紙を見つけた。


「さっき受付の女の人が言ってた薬草採取のクエストあったよ」


「どうするこれにする?」


「うーん…」


私がそう尋ねてみるがなんだか納得いっていないような表情を顔に浮かべる。


「もっと他に何かいいのないかな」


そう言いながらさっきと同じようにクエストボードに貼られている紙を見る。


「あ!このクエストなんてどう?」


そう言いながらクエストボードに貼られていた1枚の紙を私に見せてくる。


その紙に書かれていた内容を読んでみる。


紙にはこう書かれていた。


スライム20体討伐。


成功報酬金貨10枚。


注意事項スライムは色々な物を溶かす液体をかけてくるので気をつけてください。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る