第2話:バネッサ
「そこの男、両手を上げてこちらを向け!」
「......へ?」
(おいおいおい、まずいんじゃねぇのコレ!?絶対軍隊とか警察とかそういう系の組織だよね!?)
「言っとくが俺は怪しいものじゃねぇぞ。ただ家に帰りてぇだけだ!」
「下着姿で怪しくないと?」
「うるせぇ!これには事情があんだよ!」
「いいからこっちを向け」
しぶしぶ両手を上げて振り返ると、そこには銃を持った兵士のような奴らが4人いた。
「完全装備じゃねぇか。ス〇ーウォ〇ズのト〇ーパーみてぇになってんぞ」
「何を言っている?まぁいい。お前もペッツの仲間か?」
「ペッツ...こいつらの事か?とんでもねぇ!俺はこいつらに持ち物全部パクられるとこだったんだぜ?それで逆にボコってやったのさ」
「何!?お前がやったのか?」
「なんだよ、まずいのか?」
隊長らしき兵士はヘルメットを取ると俺に向かって深々と頭を下げた。中にはとんでもない美人の金髪の姉ちゃんがいた。
(ヤベェ!!めっちゃタイプ!!)
「勘違いしてすまなかった。私の名はバネッサ。我々はこの男を捕まえるために平原を探し回っていたのだ」
「こんなザコのためにそんな装備でか?随分大変だなー」
「ザコだと?こいつらは盗賊団の中では珍しく、"ソウルストーン"を持っている指名手配犯だぞ?」
「ソウルストーン?なんじゃそりゃ」
女は驚いたような顔をした。
「お前......ソウルストーンを知らないのか?」
「当たり前だろうが!こっちは数時間前まで酒飲んでくつろいでたんだよ!」
「まぁいい。私が説明しよう」
「説明はいいんで服くれません?」
「ソウルストーンというのはなーー」
「無視かよォォォ!!」
「ーー悪魔の力が宿る石だ。手にしたものは魔界の者の力を使うことが出来る」
「なんだそりゃ。チート能力じゃねぇか。てかそれ普通俺持ってない?異世界モノでしょ?」
「問題はここからだ。ソウルストーン所持者への攻撃は、魔力がないと効果がない」
「でも俺の拳は効いたぜ?」
「それが問題なのだ。一応持ち物を見せてくれないか?」
「なんだお前!パンツ脱げってのか!?見たけりゃ見せてやらぁ!!」
俺は一気にパンツを下ろそうとした。バネッサが顔を真っ赤にして慌てる。
「違うわ!お前がソウルストーンを持っていないかのチェックだ!」
「もしかして...これか?」
俺は異世界に俺を呼び込んだ勾玉を見せる。
「こいつがピカーって光って俺はこの世界に来たんだ」
「あ...あぁぁぁ...!」
バネッサが慌てた様子で勾玉を見る。
「それはソウルストーンの中でも最も危険とされている"神玉"のー種...」
「え?」
「"鬼神"の勾玉じゃないか!!」
「えぇ......」
俺はとんでもないものを拾ってしまったのかもしれない。バネッサの部下がすごい勢いで通信機のようなもので会話している。絶対増援呼んでるよコレ。
「とりあえずその力は危険すぎる。我々と一緒に本部までご同行願おう。服なら予備の戦闘服をやる」
「ありがてぇ...股間がスースーして落ち着かねぇ!」
こうして俺はよく分からない部隊の本部に連れていかれることになった。
Cry of Heart @tomoken
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