第34話

 おれさまのりよしゆうえんした。

 百億のりよの最涯てにほうちやくしたんだ。

 じゆんこうかいの故郷新潟県が『第二次大日本ていこく』として独立した世界でぼうひようの大尉として一個小隊をきようどうしていたおれさまはしい新日戦争をしゆうえんさせるがためにもろうぜきの大政翼賛会総統いの直樹に直訴せんとしたところふんじんいのの野郎は自決せんとして無意味なる自決をようそく阻止せんとした自衛隊員が発砲した弾丸をおれさまがぼうぎよするかたちで修羅場を燮和せんとしたのだがふたたび天才的なるおれさまの脳髄がけいれんするような感覚に猛襲されてなる意識の混濁のなかに埋没しちまった。意識のもうろうとしたおれさまは『巨億の世界が扉でつながっている世界』の自分や『電脳空間で方戀の恋人を復活させんとしている』自分や『げた研究によって人生をかくはんさせんとしている』自分という『ほかの世界の自分』をちようとして『百億の世界の自分』にひようへんしていったんだ。おれさまは『おれも気が狂ったか』とおもったね。同時に『こりゃ死ぬな』ともね。それがだよ『百億の世界』をりよした最涯てに無涯無辺のつつやみのなかに墜落していったおれさまは覚醒すると酒乱の探偵さんの事務所のわいざつなる床面にぎようしていたじゃねえか。おれさまは認識した。『おれさまは元通りの人生にかえってきたんだこの野郎』ってね。といえども『元通りの世界』では幾星霜のえいきよけみされていたらしくおれさまの両親を殺害したという四人の容疑者がきようあいなる探偵事務所にしようしゆされている事態がしつかい理解できなかったんだ。如いかんやら『もうひとりの自分』がはんぶんじよくれいの事件解決のためにびんべんしてくれたらしくあいまいたる記憶喪失を演出したおれさまはまでの経緯と『容疑者四人全員が犯人だ』という『もうひとりの自分』の推理を説明してもらった。おれさまの天才的頭脳はぴきーんときやがった。おれさまは探偵さんに尋問した。『本統にこの推理は間違っているんだな』とね。

 おれさまは真相をてつけつした。

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