【46:読み捨て?】

 素人の目分量になりますが、ライトノベル作品の大半は、あまり定着せずに消えていると感じています。むしろ、大半は商業的に外れ。そう思われても仕方が無いと思います。

 それでも出版社はいつ訪れるかもわからないジャックポットを求めて、次々と作品を世に送り出しているのでしょう。


 けど、その結果として単なる読み捨てのライトノベルになっていないかと感じます。むしろ長く継続する作品よりも、今たくさん売れて、稼げる作品を求めているのでしょうか?

 三十年ほど前の1990年代初頭に比べれば、性別や年齢に関係なく幅広い世代で読まれる大型コンテンツになりました。だからこそ一般的に受け入れやすい作品を、どんどん前面に押し出していくことは、商業戦略として正しいことと思います。


 ただ今の時代、どれほどのインパクトを残し、人の頭に残るのかと考えると、疑問を感じています。

 私ももうじき五十歳になりますが、若い頃に読んだ『ロードス島戦記』、『スレイヤーズ』、『フォーチュンクエスト』などが、今も焼き付いているのは、当時大きなインパクトがあったからでしょう。この年齢になってそれを実感しています。


 やはりデビューさせる作家、作品が多すぎるのだと思います。いわゆる供給過多。読み手側もお腹がいっぱいです。

 本音を言えば何を読めばいいのか、わかりづらい。そのために自分の感性に響くような作家や作品に出会えない。そんなふうに感じています。


 また氾濫状態になったことで、一人ひとりの作家さんとその作品の価値が、随分と低くなっているとも感じます。もちろん定価は設定されていますけれど、金銭的な意味とは違います。

 三十年ほど前はまだ作家さんの数も作品数も、絶対的に少ないものでした。だからこそ毎月の新刊の価値が際立ったのではと思います。

 ファンも分散することなく、ある程度集中していました。だから共通の話題でお喋りが出来ました。それがとても楽しかったのです。

 もし今の時代、私が若者で色々なライトノベルに手を出していたとしても、恐らくあの頃のような楽しいお喋りが出来るかと言えば、かなり難しいと思います。選り取り見取りすぎるからです。


 いつの時代でも、何事もその分野が人気となり、繫栄するのは良いことと思います。

 ただどんなものにも境界線が存在します。限度があるのです。

 これが単なるWEB投稿サイトの中だけの話であれば、いくら増えようと関係ありません。所詮は個人の趣味でしかないからです。幾らでも膨らめばいいのです。

 けれどこれに商売が絡んでくると話は違ってきます。適性な物量が必ず存在するわけです(これは過剰に増えた声優業界や、アニメ作品数にも言えること)。

 本来はそれを踏まえて思考し、改善するべきことと思いますが、今のところそうした兆しはなさそうに思えます。せいぜい現状を崩壊させないようにと、何とか押さえつけていることが精いっぱいにも感じています。

 

 最後にちょっとしたたとえ話をしますが、様々なバックアップデータを保存するサーバーも、パンク寸前までデータ量が増えてしまうと、パンクする前に機能が停止します。そうなるとサーバーそのものに入る混むのが困難になり、既存のデータさえ、抜き出すのが大変になります。

 最近たまたま会社の仕事上でそうなりかけたことで、このような知識を得たのですが、何となく似ていると感じたのでここに書きました。

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