【番外編 その10:設定を大切にしすぎない】
物語を作り上げる上で設定はとても大切な要素となりますが、大切にし過ぎても良くないと考えています。
書き始めたばかりで、右も左もわからない作家さんたちほど、ここで悩みやすいのではないでしょうか?
設定には世界観やキャラの仕様、その都度舞台になる細かい地域やその社会性など、挙げればきりがありません。
ですが一番の目的は物語を作ることであって、設定を構築することではないのです。
さすがにゼロの白紙状態は避けるべきと思いますが、せいぜい物語を始められる程度のことくらいは用意しておいて、あとは書いているうちに追加すれば良いだけのことと考えます。
それこそ自分の都合が良いように、取って付ければ構いません。
矛盾点が出てくればあとから修正すれば良いですし、それによって面白さが損なわれてしまうのならば、そのままスルーすれば良いのです。
むしろ最初から考え込んでしまうと、かえって行き詰ってしまうからです。
何よりこれは現時点で、始めたばかりの素人作家さんに向けて発信していることですから、素人が考え込む必要性はどこにもありません。
若い頃の記憶になりますが、ある大御所作家さんが、「最近の人たちは設定を作り上げない。設定を作るのが楽しいのに」と発言されているのを、恐らく何かの雑誌で目にした覚えがあります。
細かい言葉の表現までは覚えていませんが、言いたいことはそのことでした。
多分コンテストの審査員での発言か、雑誌の作家インタビューでの発言だと思います。
ちょうどその頃(1990年代前半から中頃)、ファンタジー小説が賑わいだし、そうしたコンテストにおける応募作品が増え始めたことを受けてのことでしょう(ご本人もそうした系統の小説も執筆されますが、ラノベには該当しない)。
当時はその考えでも良かったと思います。
何故ならばまだライトノベルの言葉もなく、作品的な地位としては随分低いものとみなされていた時代ですから。
ですが現在はライトノベルが確立され、むしろ他の小説を圧倒するくらいの収益を見せています。
むしろKADOKAWAの大黒柱そのものです。
そこまで発展しましたから、例えるなら『発言力』も増大することになりました。
だからライトノベルはライトノベルの流儀に則って書けばいいのです。
現在は深く踏み込んだ設定は必要ないかと思います。
読者が読みたいのは物語であり、作り込んだ設定ではないのですから。
作り込んでしまう程、かえって嫌われてしまうかも知れません。
ライト(軽い)とうたっている以上は、軽くなくてはいけないのです。
実際に自分が読んでいるいわゆる異世界転生系ファンタジー小説は、設定がとてもふわっとしています。
後付けでキャラが増えたり、少し地理的なことが語られたりと少しずつですが世界観が見えるようになってきました。
それでも相変わらずはっきりとした輪郭は見えず、背景の少ないコミックみたいなイメージのままなのです。
でも読みやすいですし、入り込みやすいので、これで良いのでしょう。
設定で足りない部分、見えて来ない部分はどうするのか?
それは読者の想像力で何とでもなります。
だから読者もまたその作品を作り上げる要素の一つになるわけです。
若い頃はそのことに気付きませんでしたが、アラフィフになってようやくそのことに気づきました。
悟るのが遅かったと、そこはちょっと悔しく思います。
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