【43:前回の系統の話についての追記】

 前回の系統の話について、ちょっと補足したいことがあったので、それを書きます。

 

 よく生物進化の過程として、系統図が記されます。

 見た目はトーナメント表みたいな感じになりまして、何かを起点としてどのように進化と分岐を繰り返し、現在の形に至るのかが示されています。


 まさに現在の異世界ファンタジー小説において、系統図として描けるのではないかと考えます。

 まあ、私はそうした類の研究者ではありませんので、どなたかやる気と興味のあるかたが、チャレンジして発表していただければと思います。


 ファンタジーの元祖は特定しづらいものと思いますけれど、異世界の冒険ファンタジーと定義すれば、およそスタートになるものは『指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リング)になるのではないでしょうか?

 『不思議の国のアリス』とかですと、メルヘン的でちょっと違いますし、『ゲド戦記』はジブリ映画しか見たことないので何とも言えません(あと『果てしない物語』などもかな?)。

 ですがゲームブックが流行った昭和の終り頃、当時必ずと言っていいほど名前が挙がったのが『指輪物語』でしたので、やはりそれが日本における異世界の冒険ファンタジー作品の起点であると私は考えます。

 

 そこから『ロードス島戦記』の純ファンタジー小説系統と、『スレイヤーズ!』・『フォーチュンクエスト』のエンタメ性の強い小説系統に分岐したと思うのです。

 その後は更に細かくわかれ、三十数年の時間を経て現在に至ったかと。

 その中には途中で終わってしまった系統もあるでしょう。

 更に強引に『指輪物語』からの分岐を加えるとすれば、ゲームブックもあるかと思います。

 ですがどちらかと言えば思うように発展せず、絶滅とは言えないまでも、あまり進化できなかった系統であろうと考えます。

 

 ある時期になって、現在の主流となるものが突然変異的に誕生し、やがて成長して幹のように太くなったんじゃないかと感じられるのです。

 その幹に乗ってこない別の系統は、やがて衰退して途切れてしまったと。

 例えるなら、人類進化の中で、我々ホモ・サピエンスだけが残り、他の人類が絶滅してしまった(交雑はあるみたいですが)のと似ている気がします。


 生き残り競争を経て、今がある主流の系統。

 この太くなった幹を幹線と呼びますが、これが太くなりすぎて強固になってしまったために、逃げられなくなっているようにも感じるのです。

 つまりは、同じようなものばかりになり、新たな系統、むしろ斬新といえるような色の濃い系統が、作りだせなくなってしまったのではないでしょうかと。

 言葉足らずですが、私の頭のイメージとしてはこのような感じなのです。


 小説のような純異世界ファンタジーは、現在どれくらい残っているのでしょうか?

 新たにそうした系統に取り組む将来有望な若手作家さん(プロアマ問わず)は、どれほどいるのでしょうか?

 一読者としては、衰退しつつある系統の復活や、新たな系統を作り出せる作家さんの誕生を期待しています。


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